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ワールド・スタビライザー
天野虹はカケラを砕いて一呼吸する。
黒子にて引き裂かれた体はほぼ回復した。すべては大いなる精霊のおかげである。本来なら天野虹は黒子の一部に取り込まれもうわずかな寿命を消費するだけの存在であったが大いなる精霊の加護を得ることができ、隙をつき黒子から脱出することができた。
天野虹の望みは一瞬でも元の世界に戻ってやり直しをすることである。
この世界はカケラさえあれば理想を作り出すことができる。だがそれらはすべて与えられたものに過ぎない。カケラが消え去ればすべて空虚に過ぎないことが明らかになる。
この世界から唯一戻るすべを持っているのが黒妖精である。天野虹はすぐにでも奴の国に向かおうとするも不気味な物体が現れ道を塞ぐ。
「その力、危険水域より排除する。」
その物体は流動的に形をかえ、天野虹を取り囲む。