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ロスト・ソウル
黒子は元々違和感を感じていた。その記憶は間違いなく操作されており出生の記憶はおろか、カケラ所持者の抹殺を命じられる前の記憶はなかった。
しかし、騎士からダメージを受けたショックで少し記憶が戻った。この騎士とは以前戦ったことがある。
真っ二つにされたことをきっかけに考えがまとまるようになり迷いがなくなった。はっきりしたことは主により無理やりもう一つの人格を結合させられていたことであった。
そこで片割れにもう一つの人格を切り離し、身体機能を再構築する。
「ようやく本領発揮したか。」
騎士は右手右足を前に出し独特の構えをとる。
「ありがとう、ようやく本気が出せる。」
黒子の体は一回り小さくなっていたもののその凄みは増していた。そして、間もなく魔力で生成した刀で騎士に切りかかる。