プロローグ
俺はどこにでもいるアニオタ大学生だ。いや正確には学生ニートと言った方が良いだろうか。俺は明確な目標の無いまま大学進学を選んでしまったのだ。俺がアニメに興味を持ったのは中学校の頃で、風邪をひいて欠席したまたま放送していたロボットアニメを毎週録画して見るようになったのだ。俺の通っていた学校は中高一貫校で俗に言う自称進学校だった。成績上位陣が学校の知名度を上げる中、俺は万年中の下辺りにいるような奴だった。6年間も一緒だとお互いの趣味はとっくにバレ、理系で男子が9割だった2、3年生の時、移動教室の無い休み時間にはカバーを外したラノベを読み、昼食時は弁当食べながらその日の深夜アニメの議論をするそんな学校生活を送っていた。オタクが幅を利かせているクラスにいたので、俺が重度のアニオタになるのにそれほど時間はかからなかった。
そして迎えた高3の受験期、明確な目標がある友人たちは良かった。例えばあの大学の何とか教授の研究室に入りたいとか、法律家、教師、医者、看護師になりたいとか、部活の強豪校に挑戦したいとかだ。だから勉強も捗り成績も伸びて行った。それに比べて俺はどうだ。目標がなく、実際には心の奥底にあったのかもしれないが高卒で働く覚悟もなく、大卒は就職に有利だと、4年間は就職まで猶予が与えられると自分に言い聞かせ、就職率は良い県内の4年制私立大学を受ける事になった。各都道府県に1校は必ずあるだろう大卒資格を得るためだけにしか存在していないような大学、俗にいうFラン大学だ。
結果は余裕で合格だった。何を以って余裕と言うかは人それぞれだと思うが、俺の場合はセンター利用も含め、受験したすべての方式で合格していた。だから大学生活も余裕だろうとその頃の俺は高を括っていた。だが実際はどうだ、1年過ぎて必修を何単位も落とすという有様だ。そして春休み、大学から離れバイト三昧の日々を送るうちに大学生活に疑問を感じるようになった。そして現在学生ニートである。
たった数か月でなぜここまで落ちぶれたのか。要因は沢山あり、自分で言うとただの言い訳にしかならないがその中で決め手となったのは友人が皆無だったからだろう。週末に遊びに行く友人、遠くから眺めるだけで幸せになれる異性、共に夕食を食べに行く友人、そういう友人が俺にはいなかった。否、つくらなかったというべきか。だが待ってほしい、大学一年生、浪人していなければまだ未成年だ、それなのに酒を飲む前提で集まろうとするのはおかしいだろ。だから俺はノリが悪いと飯に誘われることはなかった。そのため俺の大学生活1年目は、家と学校とバイト先を往復するものだった。
多分ですが小説家になろうの読者の学生の大半はこのアニオタ学内ニートの大学生と似たような感じだと思います。自分はそうじゃないという人も、今の自分とそっくりだという人も、かつての自分にそんな時期があったという人も、感想欄で意見を述べてもらえると幸いです。