表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/122

62 鮫島の影

 

 いきなり、俺に刀を突きつけてきた男……西園寺(さいおんじ)

 彼はどうやら氷華と同じ高校らしいが、仲は良くないみたいだ。



 氷華の話を聞いてみると西園寺(さいおんじ)が、勝手に彼女のファンクラブを作っているらしい……




 ■□■□




「もう、やめてって言ったでしょ西園寺(さいおんじ)君!私のファンクラブは作らないでって!!」




 グラウンドに響き渡る氷華の声。

 それと同時に、西園寺(さいおんじ)と俺は困惑の声をあげていた。



「氷華……高校に、お前のファンクラブあるのか?」

「私が知らない間に勝手に出来てたのよ!!」


「へ……へぇ。そうなんだ」

「部活の試合にも応援に来るし、困ってるの……」

「あはは。そんな事になってたのか」




 俺は、苦笑いを浮かべて彼女を見つめた。




 確かに氷華は可愛い……でもまさか、ファンクラブまで出来ているとは思いもしなかったよ。

 あと、氷華が俺を試合に呼ばない理由が分かった気がした。



 気をとりなおして西園寺の方を向くと、先程も震えていた刀がさらに震えている。

 氷華の発言に余程のショックを受けているのだろう。




【カチャカチャカチャ】




「氷華様!私のファンクラブは作らないで、というのはそういう()()なのでは、なかったのですか?」

「違うわよ!私は、お笑い芸人じゃないのよ!!」



「そんな……じゃあ僕が今までしてきた事は………」

「この際だからハッキリ言うわ!め・い・わ・く・よ!!――だから、ファンクラブなんて解散して」



「………それは、()()ですか?」

「違うわよ!」



「……分かりました」

「本当?!」



「ただ、1つ条件があります」

「何よ」



「この男と勝負させて下さい」

「え?」



「失礼ながら先程までの、お三方の会話、盗み聞きしておりました。――彼、氷華様の幼馴染らしいですね」

「…………」




 西園寺は会話を中断すると、俺に向かって鬼の形相で(にら)みつけてきたんだ。

 この時には、俺の首元に位置する刀の震えは止まっていた。




「西園寺だっけ?、お前、俺と勝負してどうするんだよ」

「黙れ!貴様のような馬鹿が、氷華様の幼馴染であって良いわけがない!」



「はぁ?」

「よって、この者と戦わせて下さい氷華様。――もし、この男が勝てばファンクラブを解散すると約束しましょう」




 西園寺の顔はニヤついていた。

 恐らく俺に絶対勝てると思っているのだろう……何の装備もしていない、この俺に。



 人を見下すような顔……その顔が、どこか鮫島を思い出させたんだ。



 そして、ふつふつと湧き上がる負の感情。

 俺は、首元に突きつけられた刀を右手でしっかりと掴んで、西園寺を睨みつける。




「いいぜ。この勝負のってやるよ……馬鹿の力を試してみるといい」




 と挑発しながらね。



 しかし、鋭い眼光で挑発する言葉とは裏腹に。

 スキルを発動していなかった為、刀身を握る俺の右手からは、ポタポタと血が流れていた。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ