表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/122

46 期待されない

 


 俺の中にいるダンフォールという老人……彼のステータスを見た時、正直驚いたよ。

 Lv.9999って、上限は無いのかよ………



 俺は、しばらく言葉を失った。


 ――――――――――――――――――――――――――

 ●基本ステータス

 ・名前…ブレイン・ダンフォール

 ・性別…男

 ・年齢…100歳


 ●能力ステータス

 ・Lv.9999

 ・職業→『奴隷(スレイヴ)

 ・魔法攻撃→『1000000』

 ・物理攻撃→『1000000』

 ・魔法防御→『10』

 ・物理防御→『10』

 ・知力→『1』

  ↓↓↓↓↓ ――――――――――――――――――――――――――



 こちらが黙っていると、ダンフォールさんの方から声をかけてくる。

 何せさっきまで攻撃を止めてくれって、散々騒いでいた奴が急に黙り込んだんだからな。心配もするだろう。




(少年よ。どうした?黙り込んで……儂の技は見なくてよいのか)

(いや、ちがうよダンフォールさん。ステータスを見て驚いていたんだ。Lv.があり得ない数値になってるから)


(あぁ、確かにな。通常はLv.100までが限度のはずじゃからな)

(ダンフォールさんが特別なだけなんですか?)


(正直なところ……儂もよく分かっておらぬのじゃ。『奴隷(スレイヴ)』という職業自体が珍しいからな。他の『奴隷(スレイヴ)』にも儂のような奴がおるかもしれん)


(………………)



 ダンフォールさんの言葉で、俺はまた黙り込んでしまった。ゲーム化されたこの世界は、まだ何が起こるか分からない。

 期待と不安が入り混じったような気持ちだ。




 そうやって考えていると、時間が来たようだ。ダンフォールさん……いや、俺の両手が黒いオーラをまとっていた。

 恐らく、さっき言っていた技なのだろう。



 ダンフォールさんは拳を握りしめて、鮫島の方向を真っ直ぐに見ている。

 対する鮫島の方は、余裕があるようにみえた。

奴隷(スレイヴ)』如きに何が出来るんだ?……と言わんばかりに顔がニヤついている。



「さっきからどうしたんだよ。奴隷君の攻撃なんかじゃ、俺にかすり傷すらつけられないぞぉ」

「………………」


「無視すんなよ!奴隷が!!」

「……鮫島…儂の攻撃が弱いと言っておるのか?」


「そう言ってんだよ!……誰もお前に何か期待しちゃいない!!周りを見てみろよ」

「ほぅ…なるほどな、儂に期待する者はおらぬか」



 俺は、ずっと前から気づいている。鮫島と戦闘が始まってからクラスメイトは、ずっと鮫島を見ていた。

 俺が勝つなんて……誰も思っちゃいないんだろう。


 こういうのは慣れてるから、良いんだけどさ。文化祭や体育祭、修学旅行だって俺はいつも蚊帳の外……皆から気にかけられた事なんか無かったからな。



 いや、でも今回はいつもと少し違う。火憐だけは、最初から俺をずっと見てくれていたな。



 一人でも、自分を見てくれる人がいるのは心強い。自信を持って鮫島の目を見つめられるから。

 今、鮫島を見つめているのはダンフォールさんなんだけどね………




 そして、いよいよ。ダンフォールさんが動いた。

 ゆっくりと鮫島の方向に歩いていき、真っ黒なオーラをまとった右拳で思いっきり鮫島の腹部を殴る。



 そんなダンフォールさんを俺は止めなかった。いや、止めたかったんだけど諦めたんだ。俺には、そんな力ないから。



 鮫島も余裕そうな表情のままだ。まさか、攻撃値が100万あるとは思っていないのだろう。



 現実を知らない鮫島とって、機械音が知らせるダメージは、信じ難いモノだった思うよ。



 〈プレイヤー『鮫島』に100万のダメージ〉



 機械音が響いた瞬間、戦闘中の俺達2人の間にしばらく静寂が起きたんだ。

 鮫島は、顔を歪ませて俺を見つめていたよ。



 信じられない………って表情でね。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ