表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/122

26 Cheat Manual【チート・マニュアル】

 


 薄暗い洞穴のような場所で、少女の泣き声がよく響く。

 それ以外に聞こえる音は何も無い。



 蓮は、自分が置かれている状況を恨んでいた。

 逃げれないし、倒せない。

 最悪な状況である。

(俺にはただ、猫と、寄生された火憐を見つめる事しか…)



 蓮が、苦渋の表情を浮かべながら、唇を噛んでいた時に()()は聞こえた。

 老人のような暖かく、優しい声。

 いや、聞こえるというよりも脳に直接語りかけられる、と言った方が正しいのかもしれない。



(おい少年よ。聞こえておるか?…)



「……え……誰だ?…」




 蓮は、急にパニックになり辺りを見回した。

 もしかしたら、新たな敵かもしれないのだ。しかし、モンスターの姿は、どこにも無い。

(気のせいだったかな…)



(気のせいじゃないぞ!早く、儂に語りかけんか!頭の中に響かせるイメージじゃ)

(こ、こんな感じですか?)



(そうじゃ、やれば出来るではないか!ははは)

(あの〜。どなた様でしょうか?…)



(儂は、お主じゃよ)

(はい?、、、)



(何も分かっとらんようじゃの。お主の職業『奴隷(スレイヴ)』の張本人じゃ)

(え!こんな機能もあるんですか?…職業1つ1つに、精霊みたいなモノが…)



(違うわ!元々、異世界で、その『職業』に就いた者の魂が、こちらの世界で活用されておるにすぎん!魂は、勝手に意思を持たんよ)

(え、じゃあなんで、あなたは…)



(それはな。儂は異世界でシステム上は『奴隷(スレイヴ)』をやっとったんじゃが、実際は、異なる職業として活動しとったんじゃ)

(で?……)



(あ〜。だからの、、、なんじゃったっけ?…あぁ、そうそう。システムと異なる職業で活動しとった者は、こっちに来ても意思があるかもしれんな)

(何か意味があるんですか?)



(あるとも。儂のような枠にはまらん奴はな。戦闘スタイルがちと特殊でな、チュートリアルが必要なんじゃよ。多分な)

(よ、よく分からないですけど、助けてくれるんですね)



(助けるとは、ちと違うな。教えるのじゃよ。おっ、ちょうど前に敵もおるな。神猫か、ちと手強いかもしれんな。ははは)

(…………)



 蓮の表情は明るくなったが、どこか不安が混じる。

 自身の頭が、おかしくなったのではないかと心の何処かで感じているからだ。



 でも、安心して欲しい。

 この出来事から、彼は最強としての階段を駆け上がっていくのだから。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ