第一話:子猫と僕
雪が積もりコタツに潜り込む季節がきた時でした。
僕、櫟咲 珞夜〔イチサキラクヤ〕が公園で一休みをしていると目の青い小さな子猫が僕の前に座り込みました。
首輪もしていない子猫は僕に笑いかけるように鳴いて目を輝かしている。
猫が話す訳もないのに僕は話しかけていた。
「お前も一人か?」
話す訳ないか……。
そのまま僕は猫に背をむけ家に向けて歩きだした。
ついてくる事は何もなかった。
その夜、僕の部屋に黒い影が忍びこんだ。
小さい影が僕の前にちょこんと座りこんだ。
それは夕方出会った黒い猫で青い目が綺麗に光っている。
おいおい!?
まじかよ……。
ここアパートなんだけどっ!
「おいっ!猫!出ていけっ!」
って何言ってるんだ自分はっ!
猫に話しても意味ないだろーっ!
僕は猫を抱き上げ外に出した。
気にする事なくまた深い眠りについた。
朝早くに手元がいつもと違う違和感を感じて目が覚めた。
なんだよ……。
頭をかきゆっくりと目をあけた。
なんだ猫かぁー。
って猫ぉ?
昨日の猫がまた僕の前に座っている。
どうしているんだよっ!
外にだしたぜっ!
僕は混乱して頭をおさえて自分の目を疑った。
そしてため息をついて猫の頭を撫で回した。