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遺跡街の仕事人  作者: 黄野ポピー
探索者の宝
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治療終了

がばっ!

同時にぐらりと頭がゆれる。


「はい、おはようさん」

「・・・・・・どれくらい寝てた?」

「ほんの20分くらいかね。まだだるいだろうから、そのまま座るか寝てなさい。魔力欠乏症はそれで自然回復するし、魔力の上限も上がるんだから」


たしかに、気怠い。

駆け出しの頃や無理に魔術行使した時と同じ感覚。

魔力が身体を巡るだけの量が足らない。欠乏症だ。


「あの子は・・・・・・治ったか」

ふぅと一息。


「当たり前だよ。誰に事を頼んだと思ってんだい。魔力も充分だったし、報酬もある。ついでに腕前もピカイチ。今は貧血で眠ってるけどね」


治癒魔法でも失った血は戻せないし、生成できない。


「今は血流操作で血を巡らしてるから、直に起きるよ。あ〜、疲れた」

そう言うと患者用であろう空きベッドに向かっていった。


にしても、血流操作。血の巡りを良くして血が入ってなかった腕に血を流し、身体にも負荷を掛けないようにしてる訳だ。

単なる身体操作の一端だと思ってたんだけど、使い手次第ということか。



約2時間後。魔力は6割くらい回復した頃。

「ん・・・」

少女が目覚めた。


「起きたかい?今治癒師を呼んでくるから待ってて」

「・・・・・・あ、い」




そこからはバタバタと動き回った。

少女の腕の動作確認や痛みの有無、3人分の昼食の買い出しに泣きじゃくる少女のケア。


結果、少女の腕には問題なし。ただ腕一本分の血液が足りないので、よく食事を摂るように、という診断となった。


少女は終始泣いていた。


「俺も脚無くしたことあるからさ、気持ちは分かる。良かったね、腕治って」


俺も駆け出しの頃に脚を膝から下を食い千切られたことがある。それは当時いた治癒師に治して貰ったから今は大丈夫だけど、あの喪失感と苦痛は一生忘れられないだろう。



「本当に、ありがとうございます」

ようやく少女の笑顔を見ることができた。

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