狼の結末
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轟く稲光と音。音はもはや衝撃として身体に響いている。
後方を確認すればまだ水の膜を破れないようで暴れ回っていた。
牙も爪も駆使し、破られるのも時間の問題だろう。
今のうちに距離を取って雷光狼の補足範囲から抜け出したい。
「大丈夫です。魔力をしっかりと込めた水の膜です。そう簡単には破られません」
「それでも、少しでも急ごう。狼系の怪物は補足範囲が広いから、追いつかれて背中を取られたり他の怪物との挟み撃ちは避けたい」
丘を越えて、多少の怪物がまた襲ってきて、雷光狼からは十分離れた。もう少しで風害エリアから脱出出来る頃か。
そう思っていたら、背後から轟音が響いた。
正しく雷速。が、視認出来るのだからあちらも疲弊しているのだろう。身体を雷化しての身体強化が精一杯というところか。
「しつっこい!『剛腕』『鷹ノ目』」
念強化で視力と腕力を上げて三本の投擲剣を投げる。
雷となった狼と剣が接触する。
ガリガリと音をたてて狼は倒れた。
「なにを!?」
「金属を避雷針代わりにしたつもりだったんだけど。多分、一瞬で身体が分離しかけたのを雷光狼が無理に押し留めたんだと思う」
「なるほど。とどめは?」
「やめとこう。目を覚ますかもしれないし。先にここを出よう」
こうして、ようやく風害エリアから脱出したのだった。




