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水の網
片腕をやられ、雷速で動かれ、こちらの攻撃はほぼ当たらないとなれば逃げの一手しかあるまい。
雷撃もヒヒイロカネのカタナが吸収するのと少女の水魔法による純水の障壁があれば、なんとか防げる。
簡単に手順の打ち合わせをして、構える。
「『突風撃ォ!』」
カタナを振り雷光狼に横向きの竜巻をぶつける。
が、もちろん避けられる。雷速機動すら使わず、軽く飛び越えられる。
が、これが狙い。
「水よ、膜となり、敵を捕らえよ、水膜の捕え手!」
純水の投網。
これまでの動きから雷速機動も魔法による移動ではなく、踏み込みが必要な特有の歩法術らしいことは予測が出来た。
踏み込みが出来ない空中ならば、着地の瞬間ならば。
単純な投擲も当たる。身をよじる程度は出来るだろうが、それでかわせない範囲を覆えばいい。
バシャ!
と水音をさせ、雷光狼を捕獲した。
こうしてようやく撤退することが出来た。




