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遺跡街の仕事人  作者: 黄野ポピー
狩人は笑う
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昏睡からの目覚め

お久しぶりです。Db×Wは昨日更新したので、今日はこちら。突然の雨がすごいですね。

「...................................」

少年は眠り続ける。


数日前、重傷を負ったせいだ。

体と心に。

更に限界を超えるほどの術の行使も、深い眠りに無関係ではないだろう。



すぅ。


吐息の音だけが響いた。


「.......あの馬鹿」

次いで響く声には悲しさと嬉しさが混じった不思議な声音だった。









「やー、心配しましたよ!目が覚めて良かったです!」

「ご心配をおかけしました」

朗らかに笑う術師の少年。

先日やっと昏睡状態から目覚め、レギオンの職員やら関係者に挨拶周りをしていた。


「あー!技師のー!釧路さんが呼んでましたよー!」

「ありがとう!行ってみます!」

職員が既にそばから離れていた少年に大きな声で今し方思い出した用事を伝える。

周りにいた者は

「そういうこたぁ周りに聞かれないように伝えてやれよ!」

「いやいや、それでこそだ!」

と笑い声が上げていた。



技師の研究室。ネームプレートには『KUSHIRO』と記名されている。

そのドアをノックしようとした所で、唐突にドアが開かれた。

「いらっしゃい」

「ご無沙汰しています」

それは『九字兼定』を渡してくれた技師であった。


「まぁ、色々と顛末は聞いていたよ。お疲れ様、と言っておこう」

「ありがとうございます」

かつての2人組が片方を亡くし、敵討ちを果たした。なんとも言えない雰囲気が室内に漂った。

「あぁ、昏睡から目覚めるときに夢を見たんですよ」

「夢?」

「はい、あいつがいて、笑ってました。『よく生き延びた』って」

「そうか。立派な狩人だったね」

「それと『九字兼定』を俺が持っていろ、とも。アイツに渡してくれた物ですけど、俺が貰ってもいいでしょうか?」

「ダメだな」

それは即答であった。

「.....そう、ですよね。お返しします」

「君では、この『刀』を使いこなせない。それでは彼が生かした命を捨てることに繋がるかもしれない。だから、ダメだ」

「.......はい」

そうして鞘に納められた状態の『刀』を返却した。

「それでは、失礼します」

「達者でね」


がちゃ。


ドアは決して乱暴にではなく、静かに閉じられた。


「もっと、ワガママに生きろよ、少年」

1人呟くと、その技師は『刀』を抜き出した。





「符術・『唐紅』!」

火炎弾が大きな黒鷲の怪物を焼き尽くした。

「闇術・『影縛り』」

「!!」

響く束縛系の術。それは足下を通過し、背後にいた何かを拘束していた。


背後を見れば今し方焼いた黒鷲が倒れていた。

幻影黒鷲ミラージュ・ガルーダは影と本体が正反対の位置にいて、先に影を接近させ攻撃の後を本体が狙うんだ。もう少し周囲の警戒をしないといけないな」

そこには影のような技師がいた。

先日も会った釧路だ。


「ありがとうございます。助かりました」

「なに、また頼みがあってね」

「俺に出来ることならば」

喜んで。と続く前に、目の前に差し出されたのは10個の指輪。


「これを両手の指に着けて、術を込めてごらん」

「.....はい『唐紅』『葵』『群青』『山鳩』『赤朽葉』『梅重』『砂纏』『月白』『百塩』『こう.....』」

「おっと、ストップストップ!最後の一つはこれね」

「闇術・『口寄せ』」

それは所謂、降霊術と分類されるもの。


「『よぉ、生きてるな?』」

「...ヤマ、ト?」

「『おう、俺だ。ちゃんと生きてるみたいで安心したわ』」

「なんで、お前....」

「君のための、新しい『九字兼定』だよ」

「え?」

「使用者に合わせて調整するのも、我々の仕事だからね。あとはゆっくり語らいなさい」


そうして技師は去っていった。

ブクマを外さないで頂いて、とても嬉しいです。次回がいつ、とは言えませんが、また更新します。次話で狩人編終わり.....のはず。

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