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遺跡街の仕事人  作者: 黄野ポピー
狩人は笑う
48/141

勝利のために

Db×WはPVが5000を突破しました!

仕事人は.....。これからも頑張ります!!

「ぐっ.....」

「く、くくくく」

2人の足下に撒かれたおびただしい血。


伊角と水鈴は走って近付いてくる。



「さて、小僧」


幽鬼のような男が問う。



「俺が切り落とした左腕が、なぜある?」

符術師の強いとは言えない握力で腹を貫く剣を掴んでいた。


「そんなもの、お前に何度も見せてるだろうが」

符術・『赤朽葉』。砂塵を操り対象にまとわりつかせ、最終的には拘束もしくは圧殺することが可能な術だ。

対象を追跡・まとわりつかせることが出来るなら、任意の形にすることもまた可能である。


「符術・『吉岡憲法(ヨシオカケンポウ)』」

砂塵を任意の形状に留め、任意の硬度を持たせる。通常ならば剣や槍、矢などにしてその質量によって相手を叩き潰す術である。

それを人間の腕という精密極まるものを作り出し、操作し続ける。

いかほどの難度であろうか。


そんな執念としか言いようのない術で作られたのは、砂塵製の鉄並みの硬度を持つ義手と、唯一の得物《剣》を腹に貫かせたまま動かせない(・・・・・)という状況。

そも、伊角はともかく水鈴の武器は銃である。

近付かなければならない理由は薄い。

互いの戦う理由故に共闘しているが、駆けつけてすがりつかなくてはいけない、等という非効率的なことは考えられていない。

あるのはひたすらに、共通の敵《仇》を殺すという点のみ。


ではなぜ、水鈴は近付いてくるのかと言えば。単純明快。


『虎徹』の弾丸たる『牙』の特性。

近距離では貫通に特化し、遠距離では衝撃を撒き散らす特殊弾となる。


「射抜け、『虎徹』」

引き金が引かれ放たれる『牙』。それは腹に刺さる刃に正確に貫いた。


刃が砕け、同時に2人は離れる。



そこに伊角が拳を振り上げる。

「咆哮せよ『獅子王』ォォォ!」

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