勝利のために
Db×WはPVが5000を突破しました!
仕事人は.....。これからも頑張ります!!
「ぐっ.....」
「く、くくくく」
2人の足下に撒かれたおびただしい血。
伊角と水鈴は走って近付いてくる。
「さて、小僧」
幽鬼のような男が問う。
「俺が切り落とした左腕が、なぜある?」
符術師の強いとは言えない握力で腹を貫く剣を掴んでいた。
「そんなもの、お前に何度も見せてるだろうが」
符術・『赤朽葉』。砂塵を操り対象にまとわりつかせ、最終的には拘束もしくは圧殺することが可能な術だ。
対象を追跡・まとわりつかせることが出来るなら、任意の形にすることもまた可能である。
「符術・『吉岡憲法』」
砂塵を任意の形状に留め、任意の硬度を持たせる。通常ならば剣や槍、矢などにしてその質量によって相手を叩き潰す術である。
それを人間の腕という精密極まるものを作り出し、操作し続ける。
いかほどの難度であろうか。
そんな執念としか言いようのない術で作られたのは、砂塵製の鉄並みの硬度を持つ義手と、唯一の得物《剣》を腹に貫かせたまま動かせないという状況。
そも、伊角はともかく水鈴の武器は銃である。
近付かなければならない理由は薄い。
互いの戦う理由故に共闘しているが、駆けつけてすがりつかなくてはいけない、等という非効率的なことは考えられていない。
あるのはひたすらに、共通の敵《仇》を殺すという点のみ。
ではなぜ、水鈴は近付いてくるのかと言えば。単純明快。
『虎徹』の弾丸たる『牙』の特性。
近距離では貫通に特化し、遠距離では衝撃を撒き散らす特殊弾となる。
「射抜け、『虎徹』」
引き金が引かれ放たれる『牙』。それは腹に刺さる刃に正確に貫いた。
刃が砕け、同時に2人は離れる。
そこに伊角が拳を振り上げる。
「咆哮せよ『獅子王』ォォォ!」




