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遺跡街の仕事人  作者: 黄野ポピー
狩人は笑う
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交差する4本

ノーゲームノーライフの映画を見ました。小説は読んでましたが、映像になるとすごいですね。そしてあの名場面はうるっとしました。

「わからずやぁぁ!!!」

岩蛇が出没する山岳地帯。


そこを走る3人の影。

「周辺にはいないようだな....次だ」

「はい」


討伐指定(友の仇)の男を討つため『虎徹』『獅子王』の異名と『刀』を持つ2人と行動を共にしている。


そこには直前に遭遇し逃げおおせた者なのだから、何かの役に立つだろう。という思惑もあるし、自分もそれは感じていた。

ちっぽけな自分のプライド如きで狩人のトップである2人と行動を共に出来るなら安いもの。



殺してやる。



ああ、今の俺はお前のことしか考えられない。

お前を殺さなくては何も考えられない。


だから早く、姿を表せ。




「止まれ」

「血の匂いか」

「符術・『黄櫨(コウロ)』」

地系探査の術を使い居所を探す。

探すには対象の体の一部など、対象と同じものが必要だが、今回は必要ない。


探査の対象にしているのは、自分の魔力だ。


あいつには符術は間違いなく直撃している。故にまだオレの魔力の残滓が残っているはず。



「います。10時の方向、距離およそ500メートル」

「本当に便利なものだなぁ、符術というのは」

『獅子王』の伊角がしみじみと呟く。

「前にこうやって追跡をしなきゃいけなかった時は水鈴の感覚と勘だのみでなぁ................」


........沈黙が。


「いえ、これも何か探す対象の体の一部とかないといけないですし、元々は水脈や鉱脈を探す術をアレンジしただけですから」


「ほう!既存のものを自己流に変えられるのか!」

「えぇ、まぁ.....」

「謙遜などするな!今、お前さんの術でこうして迷わずに追跡出来ているじゃないか」

「それは、元々水鈴さんが大まかな場所を特定してくれたからで」

「私では匂いを嗅ぎ取ることが出来てもその元となる場所はわからない。十分だ」

「ちなみにな、前の時は匂いを嗅ぎ取った場所から螺旋状に捜さなければいけなくてな、時間がかかるのよ」

「それを余計な時間をかけずに追える。少なくとも今は十分に役立つ」


トップの2人から言われると恥ずかしいやらなんやら。こんな術で役立てるならいいけど。


「世の中には道具・手段が優れていても扱いきれずに失敗してしまうこともある。お前さんは術をしかと使いこなしているのだな。我々は術を使えないからな」



「いたぞ」

はっと前方に集中する。


話しながらとはいえ、まだ500メートルも歩いていない。


それがこんなにも早く出会うということは


「待っていたぞ。斬り損ねた術師の少年」

「あちらもこっちに気付いていたようだな」




「今度は逃がさぬ」

「術師を守るは前に立つ者の勤めよ。我々をどうにかせぬ限り、それは叶わんぞ?」

「どちらにしても貴様の末期は変わらん。この少年を斬る斬らないに関わらず、貴様は殺す」



ゴゥと空気が震えた気がした。



「「討伐指定、この場を最後と心得よ」」

「心地よい剣気と殺気よ。皆まとめて斬り伏せてやろう」



もうそれはやらせない。



「狙うなら来てみろ。この首が跳ぶ前に、お前を蜂の巣にしてやる」



ここに4本の剣と4人が集まった。

周囲にいた怪物は直ちにこの場を後にした。


なんの邪魔も入らない。

仇討ちと責務、そして悦楽が、


互いを斬り刻まんと刃を向けた。

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