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遺跡街の仕事人  作者: 黄野ポピー
狩人は笑う
41/141

幽鬼のごとく

PVが1200を達成しました!

皆様のおかげです。ありがとうございます!!

それは唐突に、不気味に響いた。

片方は剣に速さを、もう片方は硬いものを断ち切る時に使われる刀剣支援系の念。


振り向くと黒髪の幽鬼のような男が相棒の背中に斬りかかろうとしているところだった。


相棒は俺の顔を見て、そこから察したのか振り向く直前。



間に合わない....!!




「こ、のぉ!」

「.....!!」

相棒の右腕を強く引く。


やけに間延びした視界で引っ張ってるのとは反対の左腕が脱力し伸びるのがわかった。


幽鬼のような男の剣は背中ではなく、相棒の腕に振るわれた。





だん!

どさ.....

ずざっ



「う!....ぐぅ」

「下がれ!」

「いい反応だ。お前は楽しそうだ」

ニタリ。


腕を切り落とされても悲鳴を上げずに歯を食いしばる。悲鳴をあげて転げ回っても腕は治らないし、痛みも消えない。

そんなことをしていれば今度は首を斬り落とされるかもしれない。



独特の雰囲気があった。

幽鬼のような。影のような。どちらにしてもロクなものじゃない、堕ちた狂気の気配。

とっさに腕を引っ張られなかったら多分、上半身と下半身で分かれて転がったかもしれない。



「符術・『月白(ゲッパク)』」

転倒し擦り傷だらけになったが、無視して立ち上がり左腕の止血と痛み止めだけ施す。

相棒が相手を睨みつけて警戒しているから、最低限のことが今できる。



「討伐指定、だよな」

「会いたくなかった」

「どうする?」逃げるか戦うのか?

「逃げれるなら逃げたい」無理だ。

「作るか」逃げられる状況を。

「しかない」死ぬ気でやるしかない。


短く相談する。その間も相手を観察する。

符を何枚かまだある方の手に握りしめる。



「相談は、終わったかぁ?『霞駆(カスミガケ)』」

「......!『砂纏(スナマトイ)』」

男が霧のようなものを纏うと姿が消えていった。相棒が姿を隠した男を見つけるために砂塵を周囲に当てて索敵する念を使う。


その時には、男は相棒の右にいて、剣を振り上げていた。


だから、


「符術・『赤朽葉(アカクチバ)』」

砂を一ヶ所に押し留め拘束する!

相棒の砂を全身に浴びているため、全身が同時に固まりはじめる。


「『発破(ハッパ)』」

「逃げろ!」


瞬間




どごおおおおぉぉぉぉ!



空気が破裂した。



「なにが起きた?」

「『発破』は自分の周囲に念を込めて空気を破裂させるんだ。それで砂の拘束を抜けた」


「狩人には珍しい、術師か」

ぎょろり

「剣士の少年も、怯えもせず俺と立ち合う気概は見事」

ぎょろり


「では、少し強くいくぞ」

にぃ


言葉と笑みは見えた。だが次の瞬間、相棒が吹き飛んだ。


殴られたらしい、というのは自分もそれを食らったからだ。剣を肩に担ぎ、ただ踏み込んで殴る。それだけのこと。しかしそれだけが、重く速すぎる。


ずしゃっ

がきん!


相棒が大剣で切り結ぼうとしているのが見えた。

相手は和刀。速さでは勝てないと渾身の力で斬りかかったらしい。



その次の瞬間には血煙を上げて倒れ伏した。


「符術・『唐紅』『群青』『花緑青(ハナロクショウ)』!」

火の大玉を、水の連弾を、風の刃を無数に放つ。


それらを歯牙にもかけず、ゆらりゆらりと避ける。




解放(いけ)、『(ヒョウ)』『(トウ)』」

さらに至近距離から『九字兼定』にストックした術も撃った。

血にまみれても戦意は衰えていないらしい。



「く、くくく、ははははははははは!」


嗤い声が術の集中砲火にのまれた。

符術が多くなってきましたので、一度まとめます。

『唐紅』→大きな火球

『群青』→水の弾丸いっぱい

『薄浅葱』→霧を発生させる

『月白』→止血&痛み止め、初級回復

『赤朽葉』→土系拘束

『花緑青』→風の刃

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