俺たちに出来ることは
相変わらずDb×W優勢です。こっちもお願いします!!!
「討伐指定ってさ、強いだろうねぇ」
「そりゃあねぇ」
上の空で話すのはまだ少年と言っていい年頃の2人だ。
片方は大剣を背に、和刀を腰に差している。
片方は籠手を付けているだけで目に見える武器はない。しかし懐や腰などにはホルスターがあり、中には魔法陣と呪文を記した符がたっぷりと納められている。
狩人の連盟、調査部筆頭官による危険警戒報が発布されたのはつい先程のこと。今は情報交換を終えた狩人が安全と思われる場所へ赴いたり、傷薬などを手に入れようと奔走している。
この2人も本来であればそうしたことに走るべきなのだが、傷薬の補充や武器の手入れなどは狩りを終えたら必ず済ませているため今はする必要がなく小休止をとりつつ雑談をしていた。
無論、話題は危険警戒報のこと。
「......もし、本当にもしも、俺たちでそいつ倒せたらさ、どうかな?」
「なに阿呆なこと言ってるの?」
自分たちはあくまで新人の下っ端。そんな異常なやつと戦うのは上で決めた本当の実力者に任せていればいい。
自分たちが出来るのは、せいぜいが実力者が戦ったことで怪我をした場合に滞るかもしれない物流を少しでも回復させるくらい。
消極的だが現実的な思考をしている符術師の少年はそう考えている。
対して大剣を背負った少年は現状の自分たちの力量ならば、実戦的に役立てるのではないかと考えている。
無論腰に差している『刀』もその自信を裏付ける理由のひとつだが、なによりも今まで以上に戦いに自信がついたことが大きかった。
一言で言えば調子に乗っているのだ。
今までは憧れるだけであった武器を手に入れ、これまでより格段に総体的な強さを手にした。
近接した状態で相棒の符術を撃ち込めばどんな強敵も一瞬であれ怯む。その隙を逃さずに『刀』か大剣で斬れば終わるのだから。
符術師の少年はそれは『刀』のおかげだと正しく認識していたが、確かに強さを手にしているということも理解していた。
「それなら、積極的には探さないで、普段の仕事の合間にやろう。目撃情報だけでも役立てるかもしれないし」
そう揺らいでしまった。
そうして翌日。
「じゃあ岩蛇を5匹討伐。証明は体そのまま。準備はいいな?」
「おう!」
遺跡の入り口はどこも似た部分がある。遺跡と地上が融合しているためだ、と言われている。
今日は少しだけ奥に進んで山岳地帯へ行く。そこで岩で出来た蛇を討伐する。
通常ならば剣で岩は斬れないため新人や刃物しか攻撃手段がない者は避けるのだが、符術と『九字兼定』がある自分たちならば、と依頼を受けたのであった。
進むことしばし。石造りの洞窟から開けた場所に出る。空こそ見れないが、見ようによっては曇り空に思えなくもない。
地下、のはずである。しかし空のように見える。これもまた遺跡の不思議である。
「さて、蛇がいるのは?」
「地脈の結晶が採れる岩山......っていうとアレか?」
そうしてやたらとでかい岩山に向かって歩を進めた。
するとすぐに現れた。
体に岩の鱗を貼り付けた2メートルほどの大蛇。
「しゃぁぁぁおぉ!」
「いたいた!」
「とりあえず1匹!符術・『群青』!」
放たれる水弾。数は10発ほど。
それは岩蛇の逃げ道を塞ぎ、かつ動きを止めた。
「おらぁ!」
そこに岩蛇の胴体を狙い大剣を叩きつける。
がっ!
岩には剣が刺さらない。
しかしここで腰の『刀』を取り出す。
「起動『九字兼定』!」
しゃりん。
大剣の切っ先を『刀』に這わせると、鈴のような音がした。
『九字兼定』の起動条件。
ストックしてある術を放つ場合、その相手の匂いや魔力の残滓を『九字兼定』に覚えさせなければならない。
つまり、通常の武器で攻撃か防御をし、相手に直接か魔力的にか、接触しなければならない。
これにより本来は術者が無意識下で行っている指向性の制御を『刀』にやらせるという意味もある。
「解放、『臨』!」
『臨』に込められているのは相棒の火の符術・『唐紅』。
大きな火球が大剣を叩きつけられ動けなくなった岩蛇に向かう。
ごぉん!
「な、馬鹿!燃やすな!!」
「あ」
討伐。証明は蛇の体そのもの。燃えて判別が出来なければ意味がないのだ。
「符術・『薄浅葱』」
局所に集中した霧のようなものが火に向かっていく。火はすぐに消し止められたが、岩蛇は黒く焦げてしまった。
「気をつけろよ。これじゃ意味がない」
「ごめんごめん」
「あと何発だ?」
「『臨』を使ったからあと7発。まだ大丈夫」
『九字兼定』には最大9発の術をストックしておける。それは『臨』『兵』『闘』『者』『皆』『陣』『列』『在』『前』という言霊によって解放される。
『臨』は今使用した『唐紅』が入っていた。そして『前』だけはいつも不測の事態に備えて空けてある。
「はぁ....次行くぞ」
「お、おー」
しかして不測の事態とは意図せず起きるもの。
「『音斬』『割断』。死ね」
ぎゃりん!
ニタニタ笑みを浮かべ刃こぼれだらけの太刀を振り抜いたのは
狂気を纏う不吉な黒髪の男だった。
読了感謝です。Db×Wとの話のギャップがすごい...。




