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遺跡街の仕事人  作者: 黄野ポピー
狩人は笑う
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『蜘蛛切り』の起動条件

更新したら700人くらいの方に読んで頂いてるんですね!!これからも頑張ります!

隠者の大蜘蛛ハーミット・スパイダーは隠れていたものも含めて全滅していた。


小刀に切り刻まれたものはまだピクピクと蠢いているものの、脚と腹と頭が分断されているので襲ってこれそうにない。

分銅で潰されたものは脚や頭は繋がってはいるもののユラユラと揺れるだけで生きてるように見えない。


小刀にしろ分銅にしろ蜘蛛の体液や毒液で汚れている。


一瞬にして周囲は異臭と惨状で溢れた。



なお、その惨状を作り出した『蜘蛛切り』は鎖を少し回収し、ジャラン!と音を立てて全ての鎖・小刀・分銅を出てきた穴(?)に格納すると刀身も元の小太刀に戻っていた。



あれだけ起動に苦労したのに、突然起動して、終われば即撤収と....。



なんじゃそりゃあぁぁぁぁ.....!



起動の条件を何かで満たしたのか!?


起動させようとしてからの時間経過か!?

それとも『小烏丸』のチャージした時に何かあったのか!?



はぁ、まぁ、一度は起動できたし。

起動状態の性能も把握できたし。


「一度戻って報告するか」

帰る前に『小烏丸』のエアをチャージしとこう。



フィィィィィィィィィィ!







「.....と、言う訳で銘『蜘蛛切り』の起動は一度だけ。起動の条件も分かりませんでした。ただし、起動した時の威力は強力無比。潜んでいたものまで残らず殺してくれました」

「そうか、なるほど。まだ改良の余地はありそうだ」

「あの、起動の条件とはなんだったのでしょうか?どんなに、何をしても、一度しか起動状態にすることが出来ませんでした」

「流石にわかんないよね。あれの起動条件は『内蔵された予知機能で重傷を負う可能性があること』だから」

「.......はい?」


内蔵された?予知?


「機能のひとつとして、所有者の魔力と周囲の『所有者へ向けられた適性魔力』を感知して、適性魔力の数が多いとか質が高いとか、そういうことで危険であると判断できるようにしてるんだ。隠語として『予知機能』と言ってるけどね」

「あぁ、なるほど。だから」

だから怪物が一体であったり、弱いものが周囲にいても反応しなくて、隠者の大蜘蛛ハーミット・スパイダーみたいな集団で個体もそれなりに強いのに囲まれている時だけ起動できたのか。


それならそうと早く教えて欲しかった。


「これが起動するってことはそれなりに危険な状況ってことでしょ。実験のために命の危険に陥ってこい、なんて言えるわけないじゃん」


....まぁそうだけれど。



「今ね、色んな技師が『刀』や霊装を研究して狩人全体の生還率を上げようとしてるのさ。『蜘蛛切り(これ)』もそのひとつ」


危険な状況を脱せることが出来れば生還率が上がる。危険な状況を判断するために普段は起動出来ない代わりに奇襲や囲まれた状況を打破できるように設計されたのだとか。


「ちなみに他の技師は術師がいなくても術が使えるようにしたりとか、手持ちの武器を修復するとか、構想が進んでるよ」

「なるほど」




『緊急!緊急!危険性大の事案発声!施設内にいる全ハンターはホールに集合し説明を受けよ!繰り返す!......』


「おや」

「なにかあったようで」

ありがとうございます!次回は短編で出てきたあの人にお越し頂く予定です。ブックマーク登録やメッセージなどお待ちしています!!!

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