追い込み
ローブの男捜索及び排除作戦。
その前段階として、まず転移用の目印の設置から始まった。
3人で一つの班を作り遺跡の中にバラまいて行く。
ローブの男の出現予想が一応立てられ、その場所を中心とした。
それが水のエリアだ。
そこは湧き水が、滝が、泉が、雲や雨が、とひたすら水の気配に満ちているのだ。空気もひんやりとして、長くその場に居れば服などはびっしょりと水気を含むのだ。
水のエリアが予想として選ばれたのは消去法ではあった。
奴は火のエリアで火龍種にちょっかいを出し、沼のエリアへ移動させた。
森エリアでも新種の怪物や特異な植物を発生させた。
砂漠エリアに現れ襲撃をした。
なんの手出しがされていなく、かつ魔力を奪うという仮想目的を果たせる場所がもうここしかないのだ。
他にも候補はあるものの、徘徊している怪物や原生生物が手ごわ過ぎるなどの理由から却下されていた。
転移用の目印は魔法的な意味でとても目立つ。
いかに移動しようとしても必ず立ち寄ってしまうくらいには。空間を超える転移魔法では必ずそこに転移させられてしまうほどに。
だから第二段階として、目印を置いたらすぐに遺跡内部の出入りを完全に封鎖した。
もとより遺跡内部に入ることを制限し作戦の関係者しか入れていない。
その上で武装した狩人とローブの男を探す探索者。そして大容量の魔力を誇る探求者。
第三段階、エサたる探求者と釣り糸たる探索者展開。
遺跡への出入りは出来ず、魔力を集めるには絶好の餌がある。
この好機、逃さずに来い。
皆がそう思っていた。
そうして、奴は現れる。
「おぉ!?あいつが目標か!」
お互いに視認した、と分かれば一目散に走る。狩人も展開しているとは言えそこまでは離れていない。大声を出せば気付ける程度だろう。
!!
背後で視線が動いた。
俺の背中から向こうに狩人がいるのに気付いたか。
ぞわっ
背後に何も無くなった?
いや、空気や鉱物にまであるはずの魔力が感じなくなるくらいに、薄くなった。
あ、あかん。
その中をとんでもないでかさの魔力が来る。
だめかもしれんなぁ。
「『道標への移動』」
奴は今し方、目印を越えた。
背後に出て、一撃食らわしてやる!
「『召喚・緑』」
ついでに狩人の1人を召喚して一緒に当たる。
さぁさぁ。探求者と狩人、探索者による3対1だ。凌ぎきれると思うなよ。




