追跡開始
残された探求者だけで追跡をする、という言葉に難色を示すのは、少数。
「我々だけ、それほど多くもない人数で行くメリットは?狩人や探索者にも協力を要請したほうが安全で確実ではないでしょうか?」
「最もですね。しかし、それでも私はここにいる者のみで追うことを提言します。メリットは拙速を求めること。更にここにいるのはあの爆発から身を守れる程度には実力がある者だから。更に追跡に関してはそちらにいる『白刻』が可能でしょう。如何ですか?」
「魔力の残滓を辿るのはそう難しくないでしょう。また、もし遺跡の内部でかの宝貝具現化能力が使われたなら大きな魔力が固定される独特な『感触』があります。それを察知することも可能と思われます」
「それならば、結構。あとの問題は宝貝の具現化能力がどこまでできるのか。相手側の戦力ですね。こちらとしては生け捕りにして協力体制を組んでいくのが理想ですが」
「いつどう転ぶか分からぬ者と協力体制を組めるか、というところですな」
「そこは置いておきましょう。話は出来たのだから交渉の余地はあるかもしれない。まずは相手を探さねば」
手勢は探求者数名。残りの魔力量などから直接戦闘が可能と判断出来た者のみの構成だ。
魔力の残滓はハッキリと残っていた。また怪物の死骸が道標のように残されてもいた。
そうして遺跡に入りわずか数十分。
場違いな砦が目の前に現れた。
「あれは、まさか『九遥関』では」
「きゅうようかん、ですか?」
「空を飛ぶ要塞とされています。特徴がよく似ている‥‥‥」