棺桶の中身
『棺桶』の周りは二重の結界が施されている。
ひとつは『棺桶』自体を守るもので直接『棺桶』に接するように張られていた。
ふたつめに『棺桶』の中身が出てきても一時様子を見れるようにするための、保険となる結界。もし仮に悪意のあるものが封印されているのなら第二結界で堰き止める腹づもりだ。更には部屋にも強固な結界が張られ、万が一のことがあっても『なにか』を外に出さないように万全を期されている。
因みに結界を張ったのは、結界の名手として名高く、かつ同席を許された部門長である。
『棺桶』の第一結界が消失し、蓋が開けられた。中から出た黒いモヤは依然結界内を漂っている。
宝物の類ならザラザラと出てきて、内包する魔力を調べたり歴史を調べるための手掛かりを探すところなのだが‥‥‥。
予想外の自体に集まった探求者にも緊張が走る。
そこで。
がし、と『棺桶』の中から縁を掴む手が出てきた。
そして、ゆっくりと、体が起こされた。
ふぁ、とあくびをしつつ現れたのは、少年?
「はぁ‥‥‥起きる時間か?」
一声。それだけで第二結界が割れた。
割ろうとしたわけじゃないだろう。ただ、声に魔力が籠もっていて結界内にあった魔力を含めてキャパシティオーバーを起こした。それだけなのだと、理解は出来た。
が、声に魔力を籠める『なにか』とは、なんだ?
ただでさえ単純な魔力放出で術として完成している結界を破壊する『それ』。
間違いなく、これは封印されていたものだ。
それも相当やばい。
「部門長!」
「闇よりいでて尚暗きもの。藍よりいでて尚青きもの。今一度咎を閉じ込めよ。縛鎖の九・封棺」
「ほぅ、結界術か!この時代は随分と様変わりしているようだが、まだそのような術師が残っているのだな!だが、ちと術の構成が甘い。これで十分かの。具現宝貝・火竜鋲」
突如手に現れたのは、火を纏う大きなネジ?いや、ヒョウと呼ばれる暗器があると聞く。それか?
それを軽く投げつけた。
部屋の全ての結界が破られ爆発を起こした。
訂正という名の言い訳。
ヒョウを鋲と表記しているのは、作者の携帯では漢字が出なかったためです。本当は中国の暗器の『金票』が良かった。もし誤字報告で出していただける方、というか出る方。お待ちしております。