棺桶
生きてます
マジックボックス。
魔法、スキル、技術、道具。
どんなものでもいい。
時に大容量の収集品を得ることのある者ならば必須のもの。
それはただひたすらに物を運搬する能力である。時間停止や停滞、状態保存が付加されるとなお良い。
探求者も探索者も狩人も問わない。
なんなら街の鍛冶師や食材店ですら使用される、汎用性が高く重要性の高い能力。
元は古代の遺物として収納箱が発掘されたことに端を発する。
その収納箱には外見ではありえないほどに物資が入っていた。しかも中身は当時のままで。
古代の収納箱。通称を『棺桶』。
その『棺桶』の中には空間系の魔法書も入っていた。
空間を渡り歩き、荷物を持たずに旅をすることができ、古代の人々の生活を豊かにしていたらしい。
もっとも現代においてはかなり高難度の魔法書な上、ある程度の権限やらがなければ閲覧さえできないのだが。
ある日探求者の協会にて。
「報告!新しい『棺桶』を発見!歴史系の二つ名持ちは手伝ってくれ!」
ひと仕事を終えて休息を取っていた白ローブの探求者がため息をついた。
「歴史系ってことは『刻』もそうじゃん。少しはゆっくり出来ると思ったのに・・・・・」
誰あろう。白刻の探求者その人であった。