挿入話 狩人の技師たち 3
「なっ・・・・・!」
「腕相撲で勝てばいいんですよね?私の勝ちです」
何をしたのかさえ、誰も分からなかった。釧路を除いて。
答えは瞬間的な念の発動。僅かな気すら漏らさずに、恐らくは瞬動と金剛力の複合。
他の狩人は単純に腕力だけでこの試験に臨んだが、小柄な少女だけは違った。文字通り持てる全ての力を使うつもりなのだろう。全身の力も、念も。
そして、当たり前というかその少女が腕相撲は優勝。
『刀』を扱う『剣士』になる試験に進むことになった。
『刀』の銘は『へし切り長谷部』。特徴としてはゼロ距離からの切断能力があること。前提として刀を持ち上げて振り回して貰わなければならないので・・・・。
「じゃあ落ちちゃった人はお疲れ様。まだ開発してる刀はあるから別の機会に挑戦してほしい。で、君は地下にある鍛錬室で実際に刀が扱えるか試してもらう。出来なければ再公募だ」
「分かりました」
そうして釧路の研究室から鍛錬室へ移動し、刀を手渡す。
長刀型・片刃刀。銘『へし切長谷部』。
鍛錬室の床にはバスターソードが多数差刺してあった。
「へし切長谷部は空間魔法と重力魔法などで造られている。今からやってもらうのは、へし切長谷部の素振りと所持した状態での運動能力。そして、効率よく能力を使えるか、そのセンスだね。はい、刀持って」
そして刀を持って走らせたり素振りをさせると満足し。いよいよ能力テストに移った。
「ここに大剣を刺してある。剣に刀をあてて、気を注入。一気に振り抜く、と」
ふぉん!と風を切る音と共に大剣が真っ二つに切断された。
「はじめはゆっくりでいいけど、実戦なら鍔迫り合いや抜刀術でも出来てほしいな」
それは彼女の場合は瞬動・金剛力に刀の起動を同時に行うことと同義。
が、これについては彼女が解決した。
ようは常に念を展開していればいい話。身体強化と五感強化によってあっさりと解決した。しかし戦闘が長続きしないためそれは課題となった。
なんにせよ、『へし切長谷部』の剣士に少女は選ばれた。
10万文字いけたー!