挿入話 狩人の技師たち 2
『公募!新しい剣士!
条件 膂力に優れたもの・鉄鞭を扱えるもの』
という張り紙が狩人のレギオンに貼られ、騒がれていた。鉄鞭は難しい武器で、取り扱える者は少ないが、膂力に優れているだけならば、全員がそうだ。
其のため、そこかしこで腕相撲をして力自慢をするものが現れていた。
これは狩人の技師・釧路の『刀』たる『へし切り長谷部』と『鶴丸』を扱える者を探すためのものだ。
ちなみに他の技師も制作していた刀を実戦用に調整しているため、少し遅れて公募が為される予定だ。
そして、公募から数日経ち腕自慢力自慢が釧路の研究室へとやってきた。
「ようこそ、我が研究室へ。私が釧路。今回は『へし切り長谷部』の選抜者としてここにいる。先に言っておく。これはかの『獅子王』とも並べるほどの潜在能力を持つ代わりに使用者への負担もキツイし、相応の力が無ければ扱えない。ここにいるのはそれなりに力があるもの、という認識で構わないね?」
「あー、クシロさんよ。この日のために俺達は腕相撲やらで誰がこの公募に集まるか決めたんだぜ?今更そんなこと言うのは野暮ってもんだ」
「ふむ、ではここにいる者たちで改めて腕相撲をしてもらおう。腕力・知力・体力全てを駆使して力を見せてくれ」
「おう!まずは俺だ!誰がやる!?」
「私がやります」
「ああ?嬢ちゃんかよ、止めときな!手加減なんぞ出来んぞ!」
「大丈夫です」
「時間が押すのは辞めてくれ。どうせ全員やるんだから無駄な問答はしないでくれ」
「ふん、後悔するなよ?」
「わかりました」
まるで大人と子どものような体格差の男女が手を組む。
「レディ・・・・ゴッ!」
瞬間、小さな手が大きな手を押しつぶしていた。