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挿入話 小道具職人 3
探索者の嬢ちゃんに連れられて工房に戻る。
それにしてもわざわざワシが呼ばれる事態とはなんじゃ?
普段使いの小道具は在庫があるし、店番も弟子がいる。
ということは特別な発注か?
そんな約第のないことを考えて、酔いを醒ましながら工房に向かって歩いた。
「さあ、着きましたわよ。早くお仕事に取り掛かってくださいまし!」
「はぁ、それで客はどこじゃ?」
「これですわ」
「なになに・・・・」
『探求者、探索者、狩人、文官、武官など全員が使える靴の中敷き開発求む。性質は衝撃の吸収・音の無音化・防臭・乾燥』
「なんじゃこれは」
「総合レギオンからの依頼ですわ。遺跡街の小物職人に出された依頼ですわね」
「衝撃の吸収とかはわかるんじゃが、防臭ってなんじゃ」
「遺跡の水エリアが新たに見つかって、ブーツじゃ厳しいらしいんですのよ。あと文官の方々は水虫がひどいとかで、仕事に支障が出てるそうですわ」
「はぁ、また面倒くさいのう・・・・・。まぁこれだけの多重付与は面白そうじゃ。やってやるわい」