挿入話 小道具職人 2
店は弟子に任せ酒場に来た。
なに、汎用性の高い小道具は店の在庫にあるし、大丈夫じゃろう。収納付与の小袋やリュックなどじゃな。
「おーい、注文を頼むぞい」
「小道具屋の、店はいいのかい?」
「なに、普通の客なら弟子がいるし大丈夫じゃろ。ワシはここにいるほうが新しいアイデアが出やすいしの」
「まぁ、こっちはいいがね。で、注文は?」
「まずはエールとベーコンを頼むぞ」
「まずは、ってことはいつもの流れか」
「そこは気分次第じゃのう」
注文してすぐ冷えたエールと焼き立てのベーコンが出された。この温度差がたまらんのじゃよ!
「ぷはー!やはりいいのう、この組み合わせは!次はウィスキーをロックと生ハムで頼むぞ」
「はいよ」
これも注文してすぐ出された。
「なんじゃ?もう用意しとったんか」
「いつもの、だろ?」
なんだかんだこのバーテンダーのも付き合いは長いしの。以心伝心。こちらは早く次の酒が呑めるのだし文句はない。
「にしても、そうしてるといつもの嬢ちゃんも来そうだな」
「あ〜ん?嬢ちゃん?誰じゃ?」
「ほれ、いつもアンタを探しに来る探索者の」
「見つけましたわよ!呑んだくれ!」
「ほれ、来た」
ばぁん!とドアを開けてきたのは長髪を後ろで束ね、腰に短剣を刺した探索者の少女だ。
いや、耳が長くエルフっぽいので正確な年齢はわからないが。
「貴方の工房に新しい依頼人がいらしてるのですわ!早く工房に戻りなさいませ!」
「待て待て、まだ酒が残ってる。これだけ呑んだら行くから待っておれ」
「・・・・・早くしてください」
「味わいたいのにのう」
「なにか、おっしゃいまして?」
「いや、なにも」