鍛冶師と錬金術師の苦難 3
「こんな技術が・・・・・」
「元々探求者でして。『金属加工』の術も土系魔法の応用というか、昔あった技術らしいですよ。次は玉鋼ですね。もっと分子レベルで分解できますが、どうします?」
「いや、玉鋼のままで頼む」
玉鋼の原料。けらや砂鉄など。本来の錬金術なら細かい元素の指定が必要らしいが、『金属加工』では必要ない。
ありのまま、『鋼鉄のみを抽出』などと念じればその通りになる。
現役の探求者時代は剣と投擲剣で鋼鉄を変形させて戦っていた。もちろん制約はある。生き物の体内はいじれない事だ。それと未知の金属は動かせない。どんな金属があるか分からないからだ。
出来るなら血液から鉄分を抜いて殺すことが出来たのだけど・・・・・。
考え事をしつつも玉鋼をズルズルと引き出し持ちやすい球形に成形する。
「他に金属って含まれてます?通常の武器なら鋼鉄がメインでしょうけど」
「いや、おそらくこれでいいはずじゃ。礼を言う。それと報酬じゃ」
革袋から金貨が4枚出される。
「まいどあり」
そうして錬金術師という男は去っていった。
あとに残ったのは穴だらけになった、僅かに緋色を帯びた剣らしき物だった。