木の葉亭 5
「女将さん、ただいま〜。とりあえずエール用意しといて」
そう言って狩人の男はいつも座ってるカウンター席に座り、荷物を隣の椅子に置いた。
「おや?今日は隣に誰か来るのかい?」
「あぁ、遺跡で会って助けられた人にね。お礼に奢ることにしたんだ。女じゃないよ」
「・・・・・・残念だねぇ」
「姐さんただいま!ベリーの果実水とソーセージ、魚のフライをお願いできるかしら?」
「あぁ、いらっしゃい。とりあえず席に着きな」
「はぁ〜い」
次に来たのは探索者の女。エルフっていう種族らしいけど、よくは知らない。精々が耳が少し長くてピアスを付けてる、というくらいだ。気性も穏やかで娘がいたらこんな感じかなとたまに思っちまうよ。
「なんだとテメェ!やんのか!」
「上等だコラ!オモテ出ろ!」
先に来て飲み始めていたお客が揉めている。
「やれやれ、仕方ないね」
フライパンを持ってその場に行く。
「他のお客の迷惑だよ!やるなら勘定払ってさっさと外に行きな!」
こういう時の対処法は思い切りフライパンを振り抜くこと。ケンカをしていたバカ共の頭に思い切りフライパンを落とす。
「おぉぉぉ・・・・・」
「いつつつつ・・・・」
「女将さん、やってますね。1人いいですか?」
「あぁ、いらっしゃい。何にする?」
「今日は寒かったので温かいスープがいいですね。それと白パンにベーコン、レモン水をお願いします」
次にやっきたのは狩人の青年。常に左手に手袋をしてる。
なんでも片腕を無くして、相棒も死なせちまったとかで一時は話題に上がった。でも店に来れば礼儀正しいし、良い子だ。常連客の一人でもある。
あ〜、悪いね。これからまだまだ忙しくなるんだ。
だからあたしの一日はこれでおしまいだよ。