魔法使いの店 5
まず使うのは『切断』が付与されたナイフと『指定』が付与されたペンだ。
ペンで書いた線を『指定』し、ナイフで指定されたラインを『切断』する。
1日目。黒鋼杉は物理的には硬いが魔法的な手法で加工することが出来る。今回はその性質を利用して大まかなサイズに整えていく。
今更ながらこの黒鋼杉はどうやって伐ってきたんだろうね。
2日目。次に幻想樹の魔力を振りかける作業。これは何といってもスピードが命。手早く杖全体に、しかも二本に魔力を込めていく。
3日目。魔力が馴染むまでに雷纒葉の繊維取りと風樹の実を絞る作業をしていく。
6日目。幻想樹の魔力が馴染み切るギリギリ手前で2つの触媒を混ぜて、更に馴染むのを待つ。
10日目。完全に馴染んだ所で魔界の若芽の葉と茎を2つに分けておく。これに元々使っていた杖の削りカスを混ぜ合わせて定着させる。杖の表面にコーティングすることで、よりあの小僧の魔力に馴染みやすくなる。
おおまかな作業はこんなもんだ。あとは依頼人の魔力と調整をして完成となる。今回もいい仕事をした。
安全マージンをとって18日と言ったが、やってみればたいしたこたない。ただこの武器を持って遺跡に入る以上、あたしらは命を預かってるも同然。最後の最後まで出来る作業は続けるよ。