6月25日 一日目
この物語はフィクションです。
あの出来事があったのは確か6月だった。
あの頃、何とか高校には入学できたものの授業についていけなくなって、一学期期末考査で全部赤点を取ってしまって、親にしかられる恐怖に頭がいっぱいだった。
案の定親に二時間もしかられた。これでも少ないほうだった。中学のときは四時間もしかられたことがあったんだ。
こんな生活はもういやだ。死にたい。それが毎日思う気持ちだった。
電話がかかってきて親がでると、学校の先生からのようで、成績がどうこうという話が聞こえた瞬間、またしかられる。怒鳴られる。殴られるかもしれない。もういやだ。と恐怖に追い詰められていた。そして家を無意識に飛び出した。雨が降っていたけれど走った。家に帰りたくない。今思うと本当にあの頃は追い詰められていた。どこをどう走ったのか今でも思い出せない。
気がついたら道に迷ってしまった。近くに交番があったけど、やっぱり家には帰りたくないからまた思いっきり走った。
この雨の中で野宿するのは危険だ。死んでしまうかもしれない。でも、いいと思った。我ながらバカだったと思うよ。
先生は疲れて野宿するなら定番の橋の下で眠っていた。しばらくすると知らない人に声をかけられた。たぶん心配して声をかけたのだろうけど、思わず走って逃げてしまった。本当に申し訳ないことをした。
新たな寝床を探して道をふらふらと歩いていると、車にひかれそうになった。
よけた勢いで転んでその場でうずくまっていると、車の運転手の女性に強引に手を引っ張られ、車に乗せられた。
助けてくれるのかと思ったけど、顔を見て違うと気づいた。最近ニュースでよく放送されている殺人犯だったんだ。
さわごうとすると、頭を強く何かで殴られ、気絶した。ここでその日の出来事は以上だ。