表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/29

6 田宮くん

 結構どうでもいい話だけど、ぼくと小岩井さんが付き合うようになってから数日後、小岩井さんに振られたばかりの田宮くんから、一度だけ話しかけられたことがあった。


 廊下でばったり、彼と出会ってしまったのだ。

「あんな女、別れた方が身のためだぜ。だって、セックスどころか、キスだってしてくれなかったんだ。欲求ばかりがたまるし、あいつって変なことしか言わないし、ほんと、つまんない女だったぜ」

 田宮くんは泣きそうな顔をして、強がったようなことを言った。ぼくは不覚にも、そんな彼に同情の念を覚えてしまうのだった。

「それとも、俺がいけなかったのかな。なぁ平井、小岩井は、お前にはキスしてくれるのか?」

「してくれそうだったけど、ぼくが拒否したよ」

「お前ってやつは、見た目に寄らず相当のやり手だな。女の子が求めてるのに拒むなんて。それさ、今まで相当な数の女を相手にしてきた、ってやつのすることだぜ。どう考えても俺は、お前に敵う気がしない」

 田宮くんはがっくりと肩を落として、とぼとぼと廊下を歩いていった。


 即物的な性を求めることも、男らしくていいんじゃないか、とぼくは思った。だけど、やっぱり気持ち悪いものは気持ち悪いので、ぼくは田宮くんみたいな男にはなりたくなかった。

 やはり男は、ちょっとむっつりしてるくらいがちょうどいいのだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ