2 おっぱい
小岩井さんから告白されたとき、ぼくは、小岩井さんに嘘をついてしまった。
何故ならぼくは、よくえろいことを考えるのだ。というか、妄想する。
例えば授業中、ぼくはおっぱいのことを考える。
ぼくは中学三年生で、周りの男子ももちろん中学三年生だ。なので、五十分もある授業で、しかもそれが退屈な歴史の科目だとしたら、クラスの男子はみんな、ぼくと同じように、高確率でおっぱいのことを考えているだろう。
これは一つの運命で、ぼくは周りの男子に対して親近感を持たずにはいられない。一種の絆がぼくらの中には存在しているのだ。
みんなで一斉におっぱいのことを考えれば、男子全員の妄想力で、そろそろ教室に宙を浮くおっぱいが出現しても、なんら不思議はないように思える。
しかし、宙を浮くおっぱいは今日も現れなかった。宙を浮くおっぱいは、所詮、ぼくの妄想でしかなかった。
その日の放課後、ぼくは小岩井さんと手をつないでデートに出かけた。
ぼくはちらりと、小岩井さんの胸を見た。全然ふくらんでいなかった。貧乳である。
ぼくはCカップくらいの胸が好きなので、静かに、Cカップくらいの小岩井さんを頭の中で補完するのだった。