青年期2
青年は、水の聖域を目指していた。
世界最大級の宗教国家。
癒しと浄化の総本山。
聖騎士団の本拠。
そこへ至る道は遠かった。
エルダーエルフの故郷の森を出てから、すでに数十年。
青年は多くを失い、多くを学んだ。
村は滅んだ。
師も死んだ。
だが、歩みだけは止めなかった。
剣だけが、生き残った理由だった。
青年は傭兵として働いた。
盗賊退治。
護衛。
魔物討伐。
淡々と依頼をこなした。
当時の彼は、まだ未熟だった。
剣術は優れていたが、魔法は不得手。
エルダーエルフとしては異質なほど魔力制御が不安定で、精霊との同調も浅かった。
代わりに。
彼は剣を振った。
ただひたすら。
老兵に叩き込まれた技を、身体へ刻み続けた。
「剣は、生き方だ。」
師はそう言った。
青年は、その意味を理解できなかった。
冒険者ランクBへ到達したのは、聖域へ辿り着く数年前だった。
理由は単純。
生存率だ。
大規模魔物災害。
崩落した鉱山。
辺境都市防衛。
猛獣だらけのジャングルを抜けることもあった。
砂漠では死にかけた。
死地へ赴き、帰還した。
青年は生き延びた。
それだけだった。
奇妙な冒険者。
酒を飲まない。
騒がない。
仲間を作らない。
依頼が終わると、いつも静かに消えた。
水の聖域へ到着した頃。
青年は百歳を超えていた。
だが、エルダーエルフとしてはまだ若い。
見た目も青年。
白髪。
翠眼。
そして腰には、老兵からのレイピア。
青年は紹介状を持って聖騎士団本部を訪れた。
受付の騎士は最初、半信半疑だった。
だが。
紹介状へ刻まれた署名を見た瞬間、顔色が変わった。
かつて“水の剣聖”と呼ばれた男の名。
今では伝説級の人物だった。
青年は入団試験を受けた。
結果、
試験場が半壊した。
青年は聖騎士になった。
多くのことを学んだが
光魔法だけは最後まで苦手だった。
発動はできる。
だが弱い。
不安定。
周囲の聖職者たちは不思議がった。
エルダーエルフなのに。
これほど繊細な魔力を持ちながら、なぜ光と噛み合わないのか。
青年自身にもわからなかった。
やがて年月が流れる。
青年は昇進した。
副隊長。
隊長。
そして騎士団長。
理由は実力だった。
誰よりも前へ出る。
誰よりも負傷者を守る。
誰よりもしぶとく生き残る。
だから人がついてきた。
しかし、
青年は依然として孤独だった。
仲間はいた。
部下もいた。
信頼もされた。
それでも、
どこか遠かった。
彼は人生を“続けている”だけだった。
そんなとき、戦争が始まった。
教会領と魔族領。
長く続いた緊張が、ついに爆発した。
青年は騎士団長として前線へ送られる。
そこで初めて、彼女と出会ったのだ。
書き方を変えてみました。
長さも長くしてみました。
どうでしょうか。
こちらの方が読みごたえがあるんですかね。
しばらくやってみてなんか違ったらまた変えます。




