役立たずは、お嬢様と運命を共にする
俺の人生はいつもロクなことがない。
「君もういいよ、クビ」
「一体どうしたらこんなミス……」
「貴方って使えないわね。」
ツテを巡って、働きに出てはクビを宣告される。
今回は長く働けるかと思ったけど、やっぱり無理だった。
俺はなにもしてない。
弁明しようとしたって話なんかきいてもらえるはずもなく。
バンッと、働いていた飲食店の扉が閉まる。
もう深夜に近い時間だし、街灯はほの暗い。
雪も降っていて、身体は冷える一方だ。
少し移動して、地ベタに座り込む。
これからどうすればいいのだろう。
寂れた通りであるここは、なんの面白みもない。
手持ちの金もわずかしか持っていなかった。
俺も、明日からは浮浪者の仲間入りかもしれないな。
もう、ツテというツテは使い切った。
知り合いもいない。
1台の馬車が自分の近くを通ろうとしていた。
嫌だな、泥が飛んでくるに違いない。
移動するか……。
どこへ?
宿屋?部屋を借りる?
金もないのに?
あーあ、行くあてなんてどこにもー。
ガラガラと、馬車はすぐそこまで来ていた。
馬も可哀想だな、雨が降って寒いだろうに。
ピタッと音が止み、どうやら馬車から人が降たようだ。
馬車を使うなんて貴族か金持ちしかいないはずなのに、こんな寂れた通りで降りるとは変わってるな。
「ねぇ、そこの貴方、」
俺じゃない。たぶん。
「無視するなんていい度胸ね。」
俺は被っていたフードを剥がされた。
顔に雪が当たる。
「無視するつもりは……俺じゃないと思っていたから……」
赤いドレスに、夜を思わせる髪の毛。
高そうな靴に、フリルの付いた傘。
自分よりは年齢が低そうな少女が立っていた。
「そこにいると邪魔だわ。馬車に乗りなさい。」
通りの端に座っていたから、邪魔ってこともないと思うんだけど……。
馬車に乗ろうと、エスコートしようと思った。
「貴方、見かけによらずそんなこともできるのね。
でも、結構よ。その手は触れないわ。」
そりゃそうだ、俺の手は泥まみれだし、濡れてるし。
少女が座ったのを見て俺は扉を閉めようとした。
「何してるの、乗りなさいって言ったでしょ。」
「いや、俺泥だらけだ、ですし、馬車も汚れてしまいますから……」
「私が汚れないなら、そのまま座ってもらって結構よ。」
そうは言っても……。
そもそもこの状況自体飲み込めていないのに。
少女は大きな溜息をついて言った。
「なら、貴方が明日これを掃除すればいいわ。寒いのよ、早く乗って」
その目はまるでこれでいいでしょ?といわんばかりだった。
俺は馬車にのった。
これはこの子にビビったとかじゃない、決して気圧されたとかじゃない。
「これはどこに行く馬車……なんですか?」
「屋敷に向かってるに決まってるじゃない。」
どこの、と聞きたかったか顔が鬱陶しいと言っていたのでやめた。
まぁ、どこでもいい。
働けて、寝床があるならどこだって。




