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役立たずは、お嬢様と運命を共にする

作者: れじい
掲載日:2025/12/02

俺の人生はいつもロクなことがない。


「君もういいよ、クビ」

「一体どうしたらこんなミス……」

「貴方って使えないわね。」


ツテを巡って、働きに出てはクビを宣告される。

今回は長く働けるかと思ったけど、やっぱり無理だった。


俺はなにもしてない。

弁明しようとしたって話なんかきいてもらえるはずもなく。


バンッと、働いていた飲食店の扉が閉まる。

もう深夜に近い時間だし、街灯はほの暗い。

雪も降っていて、身体は冷える一方だ。


少し移動して、地ベタに座り込む。

これからどうすればいいのだろう。


寂れた通りであるここは、なんの面白みもない。

手持ちの金もわずかしか持っていなかった。

俺も、明日からは浮浪者の仲間入りかもしれないな。

もう、ツテというツテは使い切った。

知り合いもいない。


1台の馬車が自分の近くを通ろうとしていた。

嫌だな、泥が飛んでくるに違いない。

移動するか……。

どこへ?

宿屋?部屋を借りる?

金もないのに?

あーあ、行くあてなんてどこにもー。


ガラガラと、馬車はすぐそこまで来ていた。

馬も可哀想だな、雨が降って寒いだろうに。


ピタッと音が止み、どうやら馬車から人が降たようだ。

馬車を使うなんて貴族か金持ちしかいないはずなのに、こんな寂れた通りで降りるとは変わってるな。


「ねぇ、そこの貴方、」


俺じゃない。たぶん。


「無視するなんていい度胸ね。」


俺は被っていたフードを剥がされた。

顔に雪が当たる。


「無視するつもりは……俺じゃないと思っていたから……」


赤いドレスに、夜を思わせる髪の毛。

高そうな靴に、フリルの付いた傘。

自分よりは年齢が低そうな少女が立っていた。


「そこにいると邪魔だわ。馬車に乗りなさい。」


通りの端に座っていたから、邪魔ってこともないと思うんだけど……。


馬車に乗ろうと、エスコートしようと思った。


「貴方、見かけによらずそんなこともできるのね。

でも、結構よ。その手は触れないわ。」


そりゃそうだ、俺の手は泥まみれだし、濡れてるし。

少女が座ったのを見て俺は扉を閉めようとした。


「何してるの、乗りなさいって言ったでしょ。」

「いや、俺泥だらけだ、ですし、馬車も汚れてしまいますから……」

「私が汚れないなら、そのまま座ってもらって結構よ。」


そうは言っても……。

そもそもこの状況自体飲み込めていないのに。

少女は大きな溜息をついて言った。


「なら、貴方が明日これを掃除すればいいわ。寒いのよ、早く乗って」


その目はまるでこれでいいでしょ?といわんばかりだった。

俺は馬車にのった。

これはこの子にビビったとかじゃない、決して気圧されたとかじゃない。


「これはどこに行く馬車……なんですか?」

「屋敷に向かってるに決まってるじゃない。」


どこの、と聞きたかったか顔が鬱陶しいと言っていたのでやめた。

まぁ、どこでもいい。

働けて、寝床があるならどこだって。



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