姉妹 〜Fleeting Love〜
何だか、すごく間が空いちゃった。
ごめんなさい
00
薫は、亜澄連夜という青年に助けられた。
そして薫は彼と一緒に東京に行く事になった。
薫は連夜を信じることができたのだが……彼が何を抱えているのか、何のために戦うのか。
薫は連夜の事を何も知らなかった。
01
「急に何すんだ!?心臓に悪いだろ!!」
「あっ、ごめん」
泣きながら叫ぶ薫にそう答える連夜。
破裂しそうになる位、鳴る心臓を抑える薫。
飛び降りた後、無事着陸した連夜を見ると前からこういう運転をしているのだろう。
そう思うと、コイツについて来て本当に良かったのだろうか?と心配になる薫だった。
「ってか、その時計は何なの?」
そう言って薫は時計を指さす。
「これは……腕時計型霊力探知機。正式に本部で仲間になると、渡される。今でも膨大なエンプティが増え続けている中、ちょっとでも探しやすい様に渡された物なんだよ。霊力を感知することでその場所を探知する事ができるんだ。」
「そうなのか」
最初に薫を見つけた時もこれに反応があったからなのであった。
薫はナビ的な奴なのかと思っていると、急に連夜が爆弾発言をする。
「まぁ、たまーに本物の幽霊、見つける時あるんだけどね」
「えっ!?こ、怖ぁ!?」
「本当に怖いよ、探しに行ったら反応はあるのに……見えないし、変な声は聞こえるし、怪現象起るし」
「やめろよ!!そういう事言うなよ!!」
ビビり散らかす二人だったが、どう考えても自分達も同じ様な物なのに。
見えるか、見えないかの違いなだけであった。
「にしても…早く正式登録しないとな〜」
「してないのに、何で持ってるんだよ?腕時計」
まさか盗んだのか?と連夜を見ながら青ざめる薫。
やっぱりこんな奴に着いてくるんじゃなかった!!とか思って頭を抱えていたら。
「違うから!!これ、師匠のだから!!」
「そういう事?でも、怪しいな……師匠だって使うでしょ?」
「あの人……変わってるんだよ。『見つけなくてもこっちから寄ってくる』とか言ってて、無理やり押しつけてきた」
目を逸らしながら、連夜は呆れ顔で言うのだった。
すると……先ほどより腕時計がもっと強く光りだした。
その光を見た連夜は先ほどまでの楽しげな表情から、神経な表情に変わった。
その様子を見て無言になった薫は……連夜の身体をしっかりと掴むと勢いよくバイクを走らせた。
03
少女は息を切らして走った。
彼女の身体はそんなに強い方ではなかった。しかし普通ならおかしいと感じるほどのスピードが出ていた。なのにも関わらず、そんな事は気にせず彼女は一心不乱に手足を動かした。
何故なら、彼女は命の危機にひんしていたのだ。
少しでもスピードを落としたら『引きずりこまれる』、そんな確証があった。
(死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!!このままだと死んでしまう!!)
その恐怖の感情が彼女の全力以上の力を引き出した。
しかし………逃げ切れなどしなかった。
次の瞬間、何かが足に刺さる。
「えっ!?」
何が起きたかわからないまま、地面を転がった。
意識が朦朧としながらも、後ろから近づいてくる『敵』は見えた。
次、自分が目を開けた時、2度目の死が来ることを実感した。
しかし、次に見た光景は予想とは全く違った。駆け抜けるバイクの音ともに得体のしれない何かは半分に一刀両断された。
得体のしれぬ生き物の上半身が吹き飛んだ瞬間、誰かに抱えられた。
「危ない………間一髪って所だったね、大丈夫?天峰胡桃さん」
「えっ!?」
助けてもらったのにありがとうではなく、戸惑いがでてしまった。
だが、許してほしい……いきなり知らない人間に自分の名前を呼ばれたら、きっと誰だって驚くハズ。
それ以上に理解したくない現場を見たばっかりだけどね。
怪しい人の可能性があるので、恩人ではあるけど、いち早く逃げようと考え振り向く。
連夜の顔を見た。
(意外と良い男)
今までの人生、出会いがなかった為、男に弱い胡桃であった。
04
「ねぇ………連夜、話をするのになんで、クレープ屋なんか来たの?」
「あっ、ここ知ってる。有名なところだ」
っと、胡桃はクレープ屋を見ると、薫は苦笑いするのだった。
クレープを買うと、人気のない場所に来た。
(やっぱ、クレープ食べたかっただけじゃん)
(し、視線が痛いよ。薫)
すると、胡桃は連夜に話しかける。
「話してもらうわ。さっきの『怪物』は一体、何者なの?」
「『ヒトガタ』。僕達の敵です。」
薫と連夜は振り向き、連夜が言うのだった。
✚ ✚ ✚ ✚ ✚
ある程度、事情を話すとかなり簡単に納得した様子の胡桃。
「なるほどね………。」
それが、かなり驚きだった連夜。
隣の少年が最初、全く信じなかった様に……急にそんな事を言われても大抵の人間は冗談のようにあしらってくるのだ。
「まるで………ある程度の事情を知っていたみたいに理解が早いです」
「あーー………なんて言ったら良いんだろ?以前、とある人に会ってさ。その時に………めっちゃ適当に事情を教えてくれたんだ。」
「そんなんですか?」
「貴方みたいに丁寧には教えてくれなかったんだけどね。確か、『そうるなんちゃら』みたいな奴を使えるか?って聞かれて、使えないって話したら、舌打ちしてきたな」
「…………」
(……ん?連夜?)
薫は気づく、連夜の笑顔が一瞬崩れた。
連夜も薫が睨む様子を見て、「バレた」と少し焦るのだった。
その様子を見て、
「2人は兄弟なの?」
「違います。仲間です」
連夜はにこりと笑って、言うのだった。
「そう、だったら………親近感湧いたのにな。私、妹いるの。それも病気の妹」
そう笑って言う胡桃。
『妹』という単語出した途端、貼り付けたような笑顔になった
胡桃を薫は見る。
(寂しそうだ。)
そう思い、薫は連夜を横目で見る、連夜は顔には出さないようにしていたが、どこか悲しそうな表情で胡桃を見ていた。
「妹が生まれた頃に、父親の不倫が発覚して、母子家庭になった。それでいて妹は昔から病弱で親は妹の為に朝から夜まで働きっぱなし。だから、母親の血反吐吐くような努力で何とか家庭が回せていたんだけど………。」
足を止めて、胡桃は一呼吸おく。
あまり、良い記憶ではないことは文脈では分かっていたが。
連夜と薫は心して聞いた。
「忘れもしない、高校受験日。受験を終えて家に帰ってくると倒れた妹の姿があったわ。すぐに救急車を呼び、何とか一命は取り留めたんだけど………」
苦虫を噛む締めたような顔で、胡桃は言うのだった。
「心疾患が見つかったわ。」
高血圧・糖尿病・脂質異常症・肥満などの生活習慣病や喫煙習慣などによって生じる動脈硬化が原因とされる病気。
しかし、若者がなる場合、明確な原因が分からず発症することが多いとされている。
心疾患の恐ろしい所は完治は不可能。
心不全などの慢性疾患は完治せず生涯付き合っていかなくてならない病気である。
「これまで以上に妹の医療費に手を回さなくちゃいけなくなって。生活保護を受けようとしたんだけど………何故か却下されたわ。私は高校を辞退し、医療費の為に働き始めた。最低な話、妹のことは恨んだわ。殴ってやろうとまで思った。自分の人生返せよ!!ってね。けど………あの子の笑顔見たら、そんな自分が嫌いになったよ。誰よりも苦しいのは病気で自由が一切ないあの子なのに。ある程度、自由があった私のほうがずっと恵まれてるのに………」
働き始めたと語る胡桃だが、中卒で働ける口など見つけるのはかなり困難なはずである。それも女性であれば尚更。
連夜は話を聞くたびに顔が雲っていった。
「朝から夜までは現場仕事、夜からはキャバクラで働くようになった。年中無休でね。そんな生活、続けてたら……身体にガタが来るなんて誰にでも分かるでしょ?」
黙っていた連夜が呟いた。
「過労死ですか」
胡桃が頭を小さく振る。
「無茶した結果、親に全部任せて………一人だけ楽になっちゃった。最低だよ、私。それだけじゃなくて、二度と妹の顔見れなくなっちゃった。そう思うと涙出ちゃって。私、妹の事以外に好きだったんだなって。今まで結構、愚痴言ってたのに……意外でしょ?」
すると、薫は胡桃の手を取った。
「いいや、胡桃さんが妹さん、好きなのはわかってたよ。だって、好きじゃなかったら死ぬほどの努力できないよ」
薫は涙を流しながらそれを伝えた。
それを見て胡桃は目を丸くする。
「そうか、ありがとう」
少し、時間を置いた後、連夜は口を開いた。
「胡桃さんは、これからどうしますか?語り手ラビットの討伐には興味はありますか?」
「うーんとね、私はそのウサギさんに対してはあんまり怒りはないんだよね。確かに勝手にこの世界に残しておいて、妹に合わせてくれないのは不満。だけど……私の中ではクソ親父に対してのほうが怒りが強いんだ。」
「そうなんだ………じゃあ、胡桃さんはどうするの?」
「私は日本を旅して回ろうかなって思ってる。」
連夜は微笑んで言うのだった。
「良いんじゃないですか?自由がなかった分、自由に行動するのは良いと思いますよ。ヒトガタは人が多い場所や明るい場所だと大抵出てこないですし。そこを気をつければ大丈夫なはずです」
「じゃあ、何でこんな所に連れ込んだのさ?連夜」
「こんな話できないでしょ?薫は考えて話そう」
05
「それでは、お元気で」
バイクに薫を乗せて、連夜は言った。
「また、どこかで会ったらよろしくね?」
そう言うと胡桃は手を降るのだった。
「連夜?これでよかったの?」
「語り手ラビットには恨みは持ってないし、自分から戦いに行くようなタイプじゃない。それでいて、夜道や一通りの少ない道は気をつけると言っていた。ヒトガタと会う可能性は極めて低いからね。」
だから、安心してくれと言う連夜。
しかし、薫は嫌な胸騒ぎがしていた。
「それなら………良いけど」
✚ ✚ ✚ ✚ ✚
今住んでいる家に帰るとベッドに寝転んだ。
しかし、深夜を回っても、胡桃は眠れずにいた。
久しぶりに妹を思い出していたからだ。
ロケットを見る。
幼い頃の姉妹の姿が写真に写されていた。
「『皐月』」
ふと、妹の名をつぶやく。
胡桃にとって、妹の顔を見る唯一の手段である。
すると、窓から懐かしの声が聞こえた。
「お姉ちゃん」
「!?」
胡桃は飛び起きる。
突然、妹の声が聞こえた。
「どこ!?どこにいるの?」
「お姉ちゃん」
窓を開け、声が聞こえる方を確認する。
(なんで、皐月が?考えられるとしたら……皐月も死んで、エンプティに)
「お姉ちゃん」
「今行くよ!!」
無我夢中で胡桃は走り出した。
妹に会える、そんな胡桃の期待が体を押した。
そして、声が聞こえた『暗い路地裏』に入る。
「え?」
そこには、化物がいた。
それと同時刻
バイクに乗った、連夜がヒトガタとエンプティを同時に探知していた。
「こっちの方向って!!まさか!?」
「喋ると舌噛むよ!!薫!!」
全速力で走る連夜。
(やらかした……やらかした!!)
三十分前に探知機に胡桃のいた方向にヒトガタの気配が探知した。
そこから、連夜は全速力で戻ってきた。
そして、なんとか辿り着く。
「胡桃さん!!」
胡桃に手を伸ばし叫んだ。
「れ、連夜…………くん」
__________がぶっ。
2 章くらいまでいってても良いはずなのに……。
まだ、3話。




