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死 〜the beginning of everything 〜

死んだらどうなるんだろう?

昔からずっと気になってる……。

死んだ後、どうなるかを僕は知りたい。

それで安心したい………だって怖いだもん。

死んだらどうなるんだろうって考えると……。

だから僕は描いた、死んだ後の物語を。

我らはエンプティ、現世に取り残された者達。

そして死を望む者達。

01

自転車で友達の家に行くためにひたすら走っていた。

友達が新作ゲームを買ってもらったから皆でやろうと誘ってきたのだ。

前からやりたかったゲームだっただめ、頭はそれだけの事でいっぱいになってしまった。

それが、いけなかった。

次の瞬間、前を走っていた車に衝突した。衝突した反動で自転車は折り曲がり、頭を強くうち重傷となった。

そして……その数時間後、彼は病院内で静かに息を引き取った。

ここまでは人間としての終劇。

Openingは終了した、さて物語を始めよう。

彼の死後の物語を……。


02

2日後

目が覚めた彼の目の前には空があった。

ゆっくりと目を開くと状況を確認するために周りを見るのであった。

最初は困惑していたがよく見ると、見覚えのある家の近くの路地裏であった。

ここならば簡単に家に帰れると思い歩き出した。

大丈夫だ、わかる、少し経ったら家の近くに出るなんて思い、

まっすぐ進んだ。

そして、数分後。

家の前まで来た、しかし……違和感。

何故か見知らぬ男が立っていたのだ。

「………誰?」

「君を待っていた」

「?」

男はそう言うと周りを見渡した。

不審者かな?逃げたほうが良いかなと不安な気持ちになっていると見覚えのある顔が遠くに見えた。

「あっ……母ぁ」

「マズイ」

次の瞬間、地面から足が浮いた。

否、見知らぬ男に担がれて、その状態で彼は飛んでいた。

その跳躍力は人間の『それ』ではなかった。

誰がどう見ても人間離れしたジャンプに呆気にとられた状態で彼はその男に誘拐された。

その30分後。

自動車で30分くらいかけないと到着できるはずのないファミレスで一緒にテーブルを囲んでいた。

「いや、ちょっと待て!?」

「どうしたの?豆鉄砲でも食らったみたいな顔しちゃって」

「誰でもそんな顔にでもなるでしょ!?あんなジャンプ見せられたら」

「………まぁまぁ、落ち着いてよ……新山薫にいやま かおるくん」

「!?」

自分の名前を呼ばれた少年は目を見開く。

この青年のとてつもない身体能力に加えて、この情報収集の能力、底しれない何かを感じ、怯えた表情で薫は青年を見るのだった。

「あっ……ウエイトレスさん、このクッキー頂戴」

しかし、まるでそんなことは気にしないと言った様子でウエイトレスを呼び、料理を注文する青年。

「はい、わかりました」

そう言うと、まるで子供のように嬉しがるのだった。

そして、無言の時間がかなり続き。

注文したクッキーが届くと同時に我慢の限界と言った感じに薫は席を立った。

「付き合えきれるか……僕は帰るぞ」

「やめといたほうが良いよ」

「あぁ?」

クッキーを齧ると、コーヒーを啜り青年は告げた。

「後悔することになる」

「………」

彼の目には偽りがなかった。

だとしても彼が道化ではない確証などはない。しかし、この時の薫は彼の言葉を無視できなかった。 

その様子を見て、青年は微笑んだ。

03

ファミレスを出た2人は適当に歩いていた。

もうすぐ夕日が沈みそう、なんて思いながら消えゆく赤い太陽を見て『早く家に帰りたい』と心まで沈んでいってしまった。

「さてと………そろそろ本題に入ろう」

そう言うと、青年は薫を担ぎ、またもや空中を飛ぶようなジャンプでとある場所へ向かっていた。

「ど、どこに向かって!?」

「葬儀場だよ」

「!?」

ますます薫は困惑した様子を見せた。

そんな薫を見て青年は少し寂しそうな表情を浮かべた。

葬儀場に着くと人は誰もいない真っ暗な状態で青年に押されるまま棺桶の中を見た。

薫は唖然とした顔色で棺桶の中に入っている少年を見るのだった。

棺桶の中で死んだように眠っているのはまさしく薫そのものだった。

だがしかし……薫はこの通り、肉体があり生きている。

心臓の音だって………っと手を胸の辺りにかざす。

その時、薫は気づいた。

心臓の音が聞こえなかった。 

聞こえてくるのは体にしみる冷たい風の音くらい。

「落ち着いて聞いてくれ」

「………」

「僕たちは死人だ」

「………」

「残念なことにもう心臓の音色は止まってしまっている」

「………悪質なドッキリとかじゃないの?」

薫は震えた声で青年の胸ぐらを掴む、そんな今にも壊れてしまいそうな顔をしていた薫の目を見て言う。

「信じられないと思うが、信じてくれ」

「………信じれるかよ」

「!?」

「信じれるかよ!!」

部屋から飛び出した薫はがむしゃらに走り外へと出た。

「マズイ!!…………迂闊に外に飛び出して『ヤツ』と遭遇したりしたら!!」

そう言うと、急いで青年は薫を追いかけ始めた。

しかし、すでに葬儀場内には薫の姿はなかった。

「どこに行ったんだ!?」

電柱を見つけると思いっきり足を動かし垂直に駆け上がる。

そして、てっぺんに着くと壁を蹴り、空中から薫を探した。

「いた!!」

地面に着地すると、大急ぎで薫の元に駆け出すのだった。

04

「あれは何かの冗談なんだ……僕は死んでなんかない」

そう言うと周りを見渡す。

急いで走ってきた事もあり、ここがどこなのかも分からなかった。

ただ……ここが住宅街という事だけわかった。

しかし、それだけの情報で自分の家を探すのは小学生である薫には苦難であった。

静寂な夜道が薫の心を苦しめる。

先ほど来た道を戻ろうと後ろを振り返った。

先ほど、歩いてきた時には無かった、うさぎの人形が落ちていた。

「うさ……ぎ?」

それも……まるで人形劇なんかで出てきそうなタキシードの服を纏いシルクハットを被っているうさぎの人形。

こんな特徴的な物が落ちていたら、最初の時点で気付くはずだが、薫は気付くことができなかった。

「一体……誰が?」

『始めまして、新山薫さん。』

「!?」

うさぎの人形から、渋い男の声が聞こえ……地面に倒れる。

『驚かせてしまったかな?まぁ、こんな姿だから無理もないか』

「…………」

『私はとある事情で姿をあまり人には見せられないんだ。なにせ、命を狙われているものでね』

「………命を?」

『そうさ………消してしまおうと思えば簡単にできる、しかし……彼は私にとって重要な栄養源なのでね……できれば殺したくない』

「っ!?」

これを聞いた瞬間、薫は逃げ出した。

何かが『危険』だと本能が感じた。

何が起きているのかは一切、分からない。

しかし………ヤツから離れないといけない事だけはわかった。

『やれやれ………困った子だ』

次の瞬間、何かが薫を掴んだ。

『実を言うと君はもう……新山薫ではないんだよ。君はただの幽霊……否、幽霊になり損ねた出来損ないだ。何故かって?死人という物はね……寿命を使い切って死ぬことにより初めてその名を手に入れる事ができる……しかし、君の場合はその寿命すら完全に使えきれず、魂だけが残ってしまった……言わば幽霊のなり損ないという訳さ。死人と幽霊の中間地点、臓器など生きるための生命機能を失い魂だけの力で実体化している。そんな哀れな君達を空っぽ(エンプティ)と私は呼んでいる』

「うわぁぁぁぁ!!」

叫び震えながら薫を掴んでいる、得体のしれない『何か』を見る。

実態があるようで無い、黒い煙の様な姿をした『何か』は引き剥がそうとしても実態が掴めず、こちらからの攻撃は一切、受け付けなかった。

そして、あっという間に身体の主導権を奪われた。

「たす……け」

涙を目に浮かべて薫はそう言う。

次の瞬間、その『何か』がいきなり吹っ飛んだ。

いや、攻撃されたのだ。

「ギリギリ間に合ったみたいだね」

「アンタは……!!」

『お久しぶり、亜澄連夜(あすみれんや)』 

「………語り手ラビット!!貴様だけは生かしてはおけない!!」

『………フフフ』

その声に合わせて、黒い『何か』は人間のような形に変貌する。

連夜と呼ばれた青年は薫を抱きかかえると服の袖から鉄の棒を出した。

「good night(安らかに眠れ)」

次の瞬間、鉄の棒は姿を変え大剣になった。

「粛清の時間だ」

これが彼の物語の話。

亜澄連夜と新山薫の出会い。

すべての始まりに祝福を……。

愚かな命に……幸運を。

この作品のキャラは死んでいて死んでいない。

魂が朽ちてないんだ。

そんな彼らの生きていた時より魂を震わす、大いなる相手との闘いをどうか見守ってほしい。


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