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神眼転生 ~光と闇の物語~  作者: 照師
もみの木の章
8/30

その目の意味

静寂、いや何かの鼻息が聞こえる、そいつが匂いを嗅ぎ始めた音がする、何かが何かを咀嚼する音がする。噛み砕く音がする。

「ふぅぅぅ」

爺さんが大きく息を吸い込んでいる音がする、ビューっと何かが風を切った音がしたら、

「ワウゥ!?」

犬が驚いたような鳴き声をあげた!

「グゥルルルルルアー!」

あれ?狼が中で暴れてるようだ。そこら辺で音がなり、部屋中に響いている…ヤバくないか?

「へへへ、見たか!…これぞよっと…おっ親父直伝!…まっ…魔狼騎乗、奥義ロープの……あーれー」

スゲー、スゲーぜじいさん、もしかして魔狼を乗りこなしているんじゃ?…爺さんが壁にぶつかった音がした。ダメだったようだ。

「貴様、最後まで言わせんかこのじゃじゃ狼めぇ、貴様なんてこのロープの錆びに…待て、待つんじゃ!こんな骨と皮だけのジジイ食ったって、ギャァァァァー!!アッアッア……アッ?」

ダメだったのか?爺さん……ん?狼が匂いを嗅いでる音が聞こえる気がする?

「ん?ロープの匂いを嗅いでおるのか?……おっお前もしや、風太郎か?風太郎なのか!?ずいぶんでかくなったなー、風貌はおぞましいが……」

「グルルル!」

「落ちつけワシだ、シルだ……お前その目…もしや目が見えてないのか?おい!風太郎! ?」

「ハウ!ハウ!」

「危ないじゃないか風太郎!どこに向かって噛みついておる!風太郎!風太郎!……お前もしや聞こえておらんのか?落ちつけ!落ち着いてくれ…そうじゃロープ、ほれ親父のロープじゃよ」

「はぁはぁはぁはぁ、すーすー、すーすー」

やばい!このままだと爺さんが食われてしまう、俺になにか、なにかできることはないのか?赤ちゃんの視力じゃほとんど何も見えない。

真っ暗だ。目を瞑って一旦気持ちを落ち着つかせる。

転生したならなにか、なにか力があるとかないのかなー?そんな力が見えたらなー、

「くぅーん、くぅーん、グゥルー、グルルルルル!」

「落ち着け、落ち着くんじゃー」

ヤバイ!なんとかしないと!なにかないのか?なにか……、まわりが気になってしょうがない、くっそー目が見えれば、見えろ、見えろ、見えろ見えろ見えろ、見えるんだ!…ダメだ見えない。

「しっしー…ダッダメよ…ダメ!この子はダメー!!」

「ハァハァハァ、フガフガフガ」

…狼の鼻息が当たってる……やばい!食われるー!

婆さんの抱き締める力が強くなった。婆さんの心臓の音が聞こえる。

鼓動が早くなってく、優しく力強い音、命の鼓動だ。

『一つは見る力、蠢くものの正体を暴き見る力』

ふと頭にそんな優しい女性の言葉がよぎった。

なんだか目を覚ました気分だ。そうだ俺が助けないと!

見る!俺はこの魔物の正体を見破ってやる!

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