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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

頑張るな

作者: 丸井竹
掲載日:2024/03/30

『花』


言えない傷を抱えた大人ばかりが生きている。

そんな世界に生まれた君は、傷つかないよう生きている。


温かな日差しを浴びて咲き誇る花にも失敗はたくさんある。

すぐ傍に物が置かれて日陰になるかもしれないし、雨が降りすぎて流されるかもしれない。


踏まれて折れて、萎れるかもしれない。

誰かがやってきて面白半分に踏みつけることもあるだろう。


突然工事が始まって、掘り返されて捨てられる。

そんな未来だってあるだろう。


だから、その日まで、淡々と力の限り咲き続ける。


生まれ落ちる場所を選べなかった君もまた、花だと思って咲けば良い。



『空を飛ぶ』


本当に空が飛びたいか?

空は寒いし、風除けもない。

空気は凍り付き、高く飛べば飛ぶほど死が近づく。


空を飛べたとしても人間であることは変わらない。

酸素だって必要だ。

地上で作られた汚染されたガスの中を、気持ち良く飛べるのか。


宇宙に近づけば、皮膚にだって悪影響。


有毒な空気を吸い、寒さに凍え、病気のリスクを抱えながら、そんなに空が飛びたいか?


そうだろう?思うだろう?


本当に、大人になるって、つまらない。





『矛盾する愛』


痛ましいニュースを見ながら考える。


私ならどうやって復讐するだろう。

死後の世界があるのなら、私は悪霊になるだろう。

復讐が悪だというなら、私は喜んで悪になろう。


大切なものを奪われた人の痛みを誰が本当に理解してニュースを見ているのだろう。


もし自分なら、この世界で一番残酷な復讐方法を考えて、一秒でも長く苦しめて生かしてやろう。


生きる方が辛いから。

死ねない方が辛いから。

この世界には一欠けらの幸せも残っていないだろうから。

地獄のようなこの世界で、一秒でも長く生かして苦しめ、それでも私は絶対に許さない。


そんなことを考えながら、私は娘に念を押す。


もし家族が殺されたとしても、絶対復讐してはいけないよ。

あなたの幸せを守りなさい。

憎い人のために、あなたの素敵な人生を一秒だって使わなくて良い。


幽霊になって自分で仕返しに行くから、あなたは何もしなくて良い。

ただ幸せに生きなさい。




『私は鬼』


机に向かう君を見て、きれいだなと考える。

真剣に戦う君は、いつだってきれいだ。


笑顔も素敵だし、さぼってしまう君も好きだ。

君に嫌なところなんて一つもない。


白状すれば、勉強をさぼってゲームをしている君だって可愛いと思う。

心配な気持ちがすごくこみ上げて来るけど、君のすることの全てが私には輝いて見える。


私が死んだ後も、君が笑っていてくれたらいい。

ただそれだけを心に願い、私は毎日、鬼になる。




『心臓を刺す』


冷え切った微笑みを浮かべ、私は何度も自分の心臓を刺す。


走り抜けと人は言う。

諦めるなと人は言う。

夢を持てと人は言う。


愛想笑いをするたびに、私は何度も自分を殺す。

それが普通で常識で、誰もが刃物を隠し持ち、自分を殺して平和を作る。


隠した心を何度も何度も切り付けて、自分が悪いと責め立てる。


許しは自分のためにある。

誰かを傷つけたいわけじゃない。

平和を望まないわけじゃない。

波風立てず静かに生きたい。


あなたはあなたのままでいいのだと、自分で教える他はない。


あなたの幸せを世界中の誰も願っていなかったとしても、あなたは胸を張って生きて良い。

その心があなた自身に誇れるものならば。


人の目を気にせず、刃物を捨てて、生きて良い。




『頑張る』


頑張りなさいと言うたびに考える。


頑張らなかったら負けなのか?

負けたあとだって人生は続くだろう?


頑張れなかった人生を否定しながら生きるのか?


頑張れない人間だ。頑張れない人間だ。頑張れない人間だ。


それは頑張れという言葉が生んだ呪いじゃないのか?


甘えるなと人は言う。

子供じゃないんだからと人は言う。

皆が出来ることがどうして君には出来ないのかと人は言う。


頑張れる人もいるだろう。

だけど、頑張れない人だっているだろう?


頑張れと口に出すたびに、頑張れなくてもいいと言いたくなる。


あなたはあなたのままで良い。

ただ、私はあなたに幸せになってほしいだけなのだと。






拙い文章を読んで下さり、ありがとうございました。

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