Kindle Fire Max 11インチは教育用パソコンになり得るか
高校は義務教育では無いので、教育用パソコン(タブレット)が個人持ち。学校斡旋のChromebookは性能が低くて(CPUが2コアのCeleron N4000)で重い(1.35Kg)。
先日、AmazonがKindle Fireシリーズの新製品、Fire Max 11インチを発表した。プレスリリースにキーボード一体型カバーを装着した写真が使われていたので、極一部で「教育用パソコンとして使えるか」が話題になった。
小学校中学校ではGIGAスクール構想で児童生徒用パソコンの導入が進んだ。ひとり一台持たせることで、新型コロナウイルス感染症で学校が閉鎖になった際にオンライン授業が出来る体制を組むことを目的の一つとしている。多くの学校では予算等の兼ね合いでChromebookが、一部ではMicrosoft SurfaceシリーズやApple iPadシリーズが導入されているが、Kindle Fireシリーズなら性能そこそこでお値段お安めが期待できるかもしれない、と。
現状、Kindle Fire Maxは文部科学省の教育用パソコンの条件を満たさない。①Windows、ChromebookまたはiPadであること、②画面がタッチパネルであること、③キーボードは「bluetooth接続で無い」こと、④Google for education が使えること。この中で①に抵触する。Kindle FireはAndroidベースだが互換性がない(ファイルシステムのセキュリティーおよび暗号化が強化されているとされる)Fire OSを採用しているため、姿かたちはChromebookであってもChrome/Android用アプリを使えない(とされる)。
実際はGoogleストアアプリ、または使用したい教育アプリのAPKファイルをインストールすることでAndroidアプリを使用できる可能性が高いが、これは非公式な手段であり、確実に使用できる、また使用し続けられる可能性は保証されない。そのため、Kindle Fire Maxを教育用パソコンとして使うためには、前記の要件①にKindle Fireを追加し、必要なアプリをAmazonアプリストア供給することが求められる(ただし、アプリ供給側にとっては4つ目のOS対応を強いられることとなる)。ネットワーク/サーバー負荷を考えなければ、ブラウザ上で動くwebアプリにできれば良いのだが。
価格の面においては発売前でセール情報が上がっていないため、Fire Max 11インチに優位性はない。128GBモデル+キーボード付きカバーのセットで48,980円、これはLenovoのChromebook IdeaPad Duet(メーカー終売で流通在庫のみ)の35,000円、ASUSのChromebook Detachable CM3の36,500円、AcerのChromebook CP311-3H-14Pの40,223円などと比べて(新型で若干高性能であるが)価格競争力が弱い。Fire Max 11のセット販売品が35,000円あたりでセールされるまではお値打ち感が無いと思われる。
一方、XiaomiのRedmiPadや他の中華Padの場合は、純正キーボード付きカバー等がBluetooth接続のため前記の要件③を満たさない(有線接続であれば満たす)。また、Androidタブレットはそもそも要件①を満たさない(必要なアプリは使える)。
要件②(タッチパネル)を外せば、Windowsのノートでいくらでも対応品がある。
結論:積極的に使う理由が無い。
Fire Max 11の写真を見ると、5極の端子とその外側にガイドの突起が見える。LenovoのIdeaPad Duetにも同じ端子と突起があり、本体とキーボードがマグネットで固定される構造になっている。CPUが8コア(2.2GHz×2コア、2.0GHz×6コア)と同じ、画面解像度は2000×1200と1920×1200と僅差。IdeaPad DuetのセンサーやWi-Fiを強化、アップデートし、画面を広げ、Fire OSに変更した製品に見える。LenovoからChromebookバージョンが出るならば、そちらの方が(価格等)気になる。