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私はカエル  作者: tokage
2/2

2話

「蒼ちゃん、今日一緒に帰れる?」

「ごめん、今日塾ある」

「そっか、じゃあね」

最近一緒に帰れない日が続いている。

(嫌われちゃったかな…)

思い当たる節は結構ある。

驚いた顔が好きで、ちょっと意地悪してみたり、練習試合でちょっと嫌がらせしてみたり…

好きな子はいじめたくなるのが春香である。

(いや、でも練習試合の嫌がらせはしょうがないでしょ…テニスってそういう競技だし)

テニス部の女子は性格が悪いとよく言われるが、全くその通りだと自分でも思う。

実際、春香を含むテニス部一年女子はだいぶ性格が悪い。

「はぁぁ〜…っ」

今までの恋愛は全部、気になる人止まりだった春香は初めてちゃんと好きになった相手にどう接していいのかわからない。

(不自然すぎて引かれてないかなぁ…もう好きバレしてたらどうしよう…)

好きバレしつつ、好きなのかどうか微妙な感じで振る舞うのは一つの恋愛テクニックだとどこかで聞いたことがあるが、春香はそんな高等テクニックを扱える自信など毛程もないのだ。

_____________________

次の日

(今日はたしか蒼ちゃんも塾ないって言ってた気がする…っ)

今日こそは一緒に帰れる。

そう思っていたが…

「ごめん、今日はちょっと考え事したくて」

「ぇ、あ、そっかぁ、わかった。じゃあね」

考え事がしたいと言う謎の理由で断られてしまったのだった。

(もうこれ絶対嫌われてるやつじゃん…どうしよう、心当たりしかない…!)

(無理に考え事したくてとか理由つけなくたっていいじゃん。きっぱり断ってくれた方が諦めつくんだけど!)

イライラやもやもやが混ざったような気持ちで春香は家路についたのである。

_______________

それからしばらく一緒に帰らない日が続いた。

それは年が明けて、2年生になってからもだった。

春香自身も忙しくてなかなか一緒に帰れないし、部活以外で蒼太と話すことはほぼなくなった。

仕方がないのだ。

春香にも春香の友達付き合いというものがある。

「ねえ春香ちゃん」

後ろから肩を叩かれて振り返るとそこには蒼太が息を切らして立っていた。

「な、なに?」

春香がたずねると蒼太は呼吸を整えて言う。

「今日放課後、家庭科の居残りで部活行けなくなっちゃったから、先生に言っといてくれる?」

「う、うん…わかった」

不思議だ、と春香は思う。

(自分で言えばいいじゃん。というか家庭科室から女子更衣室って遠いんだからね!これで遅刻したら蒼ちゃんのせいだからね!)

部活の顧問は現在、春香と蒼太の担任である。

担当教科は英語。

体育の後の授業が英語のため、英語が始まる前か終わった後に言えばいいものを、何故人に言わせるのか。

(私だって、暇じゃないんだけど!)

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