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冗談のつもりが

作者: あーくん

よかったら読んでください。


 朝、LINEが来ていた。

女友達の花音かのんからだった。

一緒に受験勉強をしようということらしい。

最近僕たちは学校が休みの日、いつも図書館で勉強している。

「おそいよぉー」

「ごめんごめん。パン食ってから来た」

自転車小屋に着くと、今回も一足早く彼女が待っていた。


 ちなみになる話だけど、彼女は京大志望で僕は阪大はんだい志望だ。

彼女は物事を柔軟に考える力があり、記憶力もいいのでたぶん受かると思う。

反対に、僕は頭が良くないので、マジで勉強しないと受からない。

うーん。今、化学の問題集をやってるんだけど、なかなか問題の壁を崩すことが出来ない。

難しいなぁ。

「ねえ」

僕は呼ばれた。

「ん?」

「頭から煙が出てるよ」

「え?まじで?」

「私が教えてあげるよ」

「あざす」

お言葉に甘えることにした。

彼女の教え方は上手だった。

ちゃんと基礎が分かってるんだなって思った。


 「良悟りょうごくん、大事な話がある」

「大事な話?」

「うん」

何だろう?大事な話って。全然見当もつかないや。

「ここじゃ言いにくいから、外行こう」

彼女の要望を受け入れて、一旦外に出た。

彼女は切ない表情をしていた。

え?これってまさか……。告白?

もしそうだとしたら嬉しい。

僕は彼女のことを女として見ているからだ。

待って。モテ期来たんだけど。母ちゃん、僕、今日で彼女いない歴=年齢が終わります。晩飯の時伝えるからね。その時は喜んでな。

「良悟くん」

ゴクリ……。

僕はツバを飲んだ。

「芸人になろう」

「え?」

一瞬、意味が分からなかった。

「私、大学受かったら一緒にコンビ組みたい」

え?まじか。どうしよう。

「良悟くんはバカだから芸人に向いてそうだし、誘ったらOKくれるかなって思って」

ひどっ!っていうか全芸人に謝れ!芸人って頭良くないとダメだろ!おもしろいこと言わないといけないし。

怪訝な顔をしていると、彼女は笑った。

「冗談冗談。本当は良悟くんと一緒にいると楽しいし、一緒に仕事できたら最高じゃんって思って。あと、大学受かったら高学歴芸人として売りになるじゃん?」

「そういうことね。いいよ。芸人になろう」

「約束ね」

「うん!」


 志望校の合格発表の日、僕はネットで合否を調べた。

頼む。受かっててくれ。

しかし、合格者の中に僕の受験番号はなかった。

落ちた。真っ逆さまに。

昭和のあの歌が頭の中で流れた。

後日、彼女から電話があった。

「良悟くん?私、受かったよ。京大に」

やっぱりね。受かるよね。花音、頭いいもん。

「良かったじゃん。おめでとう」

「良悟くんはどうだった?」

「落ちたよ」

「そっか。それはキツいね。あ、そうだ。私、やっぱり真面目に勉強して弁護士になりたいから、芸人諦めるけどいい?」

嘘やん。未来の相方消えたやん。えー。どうしよ。

僕は盛大に困惑した。でも、彼女の人生だし、止めることなんて出来ないよね。

「いいよ。じゃあ、僕一人で芸人目指すわ」

「ほんと?応援してる。有名になってね」

「うん!もし、そうなったらお嫁さんになってね」

僕は冗談を言った。こんな落ち込んでいる僕に、冗談を言う力がまだ残っていることに自分でもびっくりした。

「いいよ。私、良悟くんのこと好きだから」

え?まじで?両想いじゃん。

「じゃあ、今のうちに付き合う?」

また冗談を言ってみた。

「いいよ」

「まじで?ありがとう」

彼女の存在が僕のやる気をMAXに上げて、僕が一流の芸人になるのは、また後の話。


読んでくれてありがとうございました。

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