5話
二日に一回更新するくらいのペースでゆっくりやっていきたいです。(出来たらもっと投稿したいけど……)
朝は礼拝で始まる。まず礼拝堂に救貧院の皆で集まり、祈りを捧げた後に司祭や助祭の説教を聞き、それから食堂に行って朝飯を食べるのが朝の日課だ。
せっかくだからこの修道院の信仰を説明しよう。この修道院ではパルダウ教という多神教の宗教だ。多神教といっても主神への信仰が盛んでほとんど一神教のような感じがある。我が修道院も例によって主神を信仰しているが、ついでにこの修道院を建立した聖人である隠遁者スコラを祀っている。パルダウ教の主神であり、豊穣と文化、戦争と疫病を司るレナンセという神は教典にも書いてあるが「みだりにその名を口にしてはならない」らしいので基本的に「我が主」とか「我らが神」とか呼んでいる。
朝飯の後は救貧院の者は労働を始め、子供は学校が始まる。学校では読み書き計算に加えて修道院の後進育成の一環として声楽、教典の解釈、歴史、語学など様々なことを学んでいる。たまに外に出て修道院の農園や水車小屋で生活の知恵も教えてくれるのでかなり充実した生活を送っている。本が無い以外は。
ということで自前で本を作ろうと思う。何故か?それはアンジルスが中々本に触らせてくれないのもあるが、一番は…
(巻物じゃなくて冊子の本が読みたい…)
「それにしてもアンジルスのヤツもケチだよなぁ…本特有のインクの香りやページをめくる感覚を味わいたいだけなのに」
「うわっ…またメディが独り言呟いてるよ…」
イタい人を見る目でそれをわざわざ言語化してくる栗毛の女子が近づきながら話しかけてきた。
「なんだよテオドラ…独り言ぐらい俺の自由だろ」
「じゃあワタシにもその独り言を「キモい」の一言くらい言う自由があるわよね?」
「うっ…そっ、それより何で俺のところに来たんだ?」
「なんか楽しそうなことしようとしてたから?」
「なんでお前まで疑問なんだ……」
「うっさいわね、勘よ勘!」
「でも俺は紙作ろうしてるだけだぞ」
「大人に隠れてやるから楽しいんじゃない!何するなんてのは関係ないの!」
(自由だなぁオイ……)
気を取り直して今回作ろうしてるのは紙は紙でも「わら半紙」だ。
なぜパピルスなどではなくわら半紙なのか?それは第一に作り易さ、次に材料が簡単に手に入るからだ。
わら半紙のレシピは……
・わら(あればぼろ布でも)
・水
・刃物(ハサミ、ナイフがあると良し)
・多少目の細かい網
・鍋(わらを煮ることが出来ればなんでも良い)
・草木灰
以上だ。
これなら子供でも出来るし怪しまれずに実験できるからだ。少しでも怪しまれたらそこから何か良くない気がする(悪魔憑きとか言われたら大変だし……)。
「じゃあテオドラも手伝ってくれよ」
そう言ってテオドラに材料と道具を渡して手順を教えた。
「メディー!できたわよ!」
「どれどれ……うん!これくらいでいいと思うぞ」
「次は何をするのよ?」
「次はこの細かくしたわらを煮ていくんだ」
「じゃあワタシ鍋を借りてくる!」
「じゃあ今のうちに火を起こしておくか……」
火を起こして草木灰も一緒に作っていた頃にちょうどテオドラが鍋を無事に持ってきた。
「よし!じゃあわらを煮るぞー!」
しばらくして……
「大丈夫これ?かなり変な臭いがするんだけど?」
「臭いは大丈夫だよ。だけどこれから結構な時間煮続けなきゃいけないけど……」
「暗くなってきたわね」
「そうだね」
「「そうだね」じゃあないわよ!!どうすんのよこれ?」
「しょうがないから石で囲んで火の中に生木でもいいからぶち込んでおこう!」
「わかったわ!」
結局あの後に鍋を返さなきゃいけないので木の皮を使って即席鍋を作ったりしていたら門限を過ぎていた。
もちろん俺とテオドラはアンジルスにこってり絞られた。
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