第0話「天使テミス」
俺は知っている、この世界は地獄だという事を。
”死”という恐怖で人間を束縛し地獄に居すわらせる。
だから俺は解放されようと思う、この”地獄
せかい
”から・・・。
俺は青い空を仰いぎながら地へ吸い込まれる感覚を味わう、そして刹那流れる時を感じる。
何度もつまらない人生をリピートする走馬灯を鼻で笑いながらグシャッっと鳴る音を耳にした。
真っ暗だ、何もない・・・。
何もないというか、体が無い。
死んだら天国でバカンスかと思ってたけど神様も手抜きだな、南の小島みたいなイメージしてたんだけどなぁ。
まあ、あの地獄より100倍ましだ。
誰も俺に文句も言わないし、冷たい視線も感じない。
ああ、そう思うと天国だ、ここで一生寝て過ごすのだ。
俺は久々に高鳴る胸を感じた・・・ってもう体は無いから胸は高鳴らないか。
まあ細かい事はいいや、この世界でグダグダライフを満喫するのだ。
そんな時だった、天国から俺を引きずり下ろす出来事が起きたのは・・・。
野球ボール位の白い光が俺目がけて飛んで来たのだ。
不規則な飛び方で何だかゼ○ダの伝説の妖精を思い出す。
デクの木様の体に住む魔物退治とかイベントが起こらなければいいが・・・。
俺は白い光を眺めていると突然小さい粒子となり人の形へと変化していった。
そして一人の少女が作り出された。
髪は白くショートカットで、肌は透き通るような肌に大きな目に青い瞳が特徴的だ。
鼻も小さく唇はピンクと完璧な美少女だ、芸能人でも比にならないレベルでCGで作った様な顔立ちだ。
俺は突然の展開に驚きを隠せなかった・・、そして俺は夢か確認するためその美少女のオッパイを揉んだ。
うむ、柔らかいな・・・本物だ。
てか、本物を触ったこと無いんですけどね。
俺は少女のオッパイから手を離すと、ハトが豆鉄砲食らった様な顔で数秒停止し、段々と頬を赤く染め始めた。
少女はオッパイを両手で隠しながら後ろにステップを踏んで睨んできた。
「ななな、何するんですか!!体を与えた瞬間セクハラって変態さんにも限度があります!!」
ありえないと言った顔をしている少女に向かって俺は胸を張って言った。
「変態で何が悪いんだ!男で変態じゃない奴なんて俺は知らん!」
全く常識知らずなお嬢さんだぜ・・・ん?てか、体を与えたとか言って無かった?そういえば体が戻っているし声も出せる。
てか、手が無いのにオッパイは揉めないか。
よし、体も戻った訳だしこの感触は今晩のオカズにしよう、もちろん勿論性的な意味で。
絶世の美少女だ一年はズリネタに出来るな。
俺はズボンを広げてパンツに住む主が在宅か確認した、アレが無かったら自家発電も出来ない訳だしな。
ズボンの中を覗くとオッパイの感覚を思い出して森の主のタイラント・ワームが元気よく立ち上がっていた。
全く可愛いヤツめ、まるで自分の子供の様に可愛いなお前は。息子だけにッフッフ。
「な、なんなんですか!急にセクハラしたと思ったら開き直るし、急に陰部を確認して微笑むし!」
少女は顔を手で隠しながら必死で怒っているが美少女なだけに逆に興奮を覚える。
俺はズボンから手を離して少女の方向へと向かった。
「な、なんですか!変な真似したら許しませんよ!」
「変な真似とは?」
「え、え、っとだから、その・・・///」
目を泳がせながら恥ずかしそうに戸惑っている、こんなにもイジリがいのある娘はそうそう居ないだろう。
俺は微笑ましい光景を前に微笑みを浮かべていると、からかわれている事に気付いたのかッハっとした顔をして悔しそうな顔でポカポカと殴ってきた。
ああ、美少女にセクハラ出来るとかやっぱり天国だなぁ・・・。
俺が満足げな顔でいると少女は目じりに少し涙を溜めながら喋りだした。
「むぅ、私の名を聞いて後悔する事ですね!私は女神テミスです。(ドヤァ)」
テミス?神話とか世界の歴史とか苦手だったし正直そんなん言われてもわからんな。
「そっか、んでさ、てっちゃん。ここ何処な訳?」
「て、てっちゃん!?聞いてました!?私女神なんですよ!?か・み・さ・ま!分かりますか!?」
また目じりに涙を含みながら顔を近づけてきた。めっちゃいい匂いするやん・・。
「そっか、てっちゃん、質問~。」
俺がそう言うと自称女神てっちゃんが後ろを向いて体育座りしてしまった、そしてとてつもなく背中から哀愁が漂っている。
ああ、からかい過ぎたか。このせいでリストカットとか始めて、自称女神から自傷女神になられても困るなからな。
ここは持ち上げとくか。
「あの~、女神テミスさまぁ~。」
俺がそう言うと女神はッハっと笑顔でこっちを向いて目を輝かせながら嬉しそうに胸を張った。
「おお、やっと私の偉大さに気付いたのですね!さあ好きな質問をしなさい我が信者よ!」
ええ、凄い変化の仕方だな。
あと信者って・・・、貴方を信仰した覚えが無いのだが、まあいいや。
「えっと、此処は何処何ですか?もしかして天国とかですかね?」
俺が質問すると自称女神てっちゃんは自信満々の顔で語りだした。
「いい質問ですね!ここは精神世界です、簡単に言うと死者を選別する前の空間になりますかね。」
なるほど、ここは待合室って事だな。
多分、閻魔様的な人が天国か地獄か分けるのを待つ所って訳か・・。
俺が頷いていると自称女神は詳しく聞いてほしそうにチラチラ見てくるので質問をすることにした。
「えっと、選別とは?」
俺が質問すると女神は待ってましたと言わんばかりに顔を明るくして喋りだした。
「しょうがないですねぇ~、教えてあげましょう。」
鼻息を立ててご満悦で喋りだした。
「選別というのは言葉通り使者の選別を指します。
大きく分けて二つで天国で暮らす者地獄で現世の罪を償う者です。」
ああ、予想通りだったなぁっと思っていると自称女神は続けて語りだした。
「そして選別で極稀に見られる天使に転生する者がいるのです!!なんと、その確率一億人に一人!」
へぇ~、そうなんだぁ。
って、待てよ嫌な予感がしてきたぞこれは選ばれちゃったとか、そんなオチじゃないのか!?
いやいや、一億分の一だぞ流石に・・・。
「そう、貴方は天使に選ばれたの」
「やりません。」
「・・・。」
時が止まる、そして数秒経って女神は咳をして再び笑顔を作った。
「貴方はて」
「やりません。」
「・・・。」
俺が切り捨てると自称女神は目涙を浮かべて大きな声で訴えてきた。
「な、なんですか!?凄く光栄な事なんですよ!!日本人が絶滅して一人選ばれるかそんな確率なんですよ!?」
おいおい、正義の女神がそんなおっかない事言うなよ。
「だって、天使って絶対面倒じゃないですか!」
俺がそういうと女神は胸を張って言った。
「そんな事ありません!頑張れば神様にだってなれる素晴らしい職業です!」
「あ、今職業って言った!絶対やだ!働きたくないぃ!!」
死後はゆっくりと天国でぐーたらする計画があるんだ、絶対だめだ。
拙者働きたくないでござる!!!絶対に働きたくないでござる!!!
「ダメです!天使になる事に拒否権はありません!」
「嫌だ、嫌だ!働いたら負けなんじゃあ!」
俺が駄々っ子の様にジタバタしていると女神テミスは呆れた顔に少し涙目になりながら言った。
「じゃあ、どうしたらやってくれるんですかぁ!」
うん、こうなったら絶対成功しないお願いごとで逃げ切ろう!よし!
「じゃあ、女神様、僕とエッチしてくれたらいいですよ!」
名付けて「成功しない=性行しない大作成」だあ!
ぐっふふ、これには答えらるまい!
俺が我が物顔でほくそ笑んでいると女神は悔しかったのか頬と耳先を真っ赤に染めながら擦れた声で言った。
「わ、分かりました!やりますよ!」
「え?」
そして、俺は天使として天界で働く事になった。