1日目
「「どーしてこーなった!?」」
二人で声を合わせて叫ぶ
周りの人は皆
こちらを物珍しげな顔で見つめてくる。
その通行人も、人間じゃないようで、
頭からぴょこんっ、と、
ウサギ、猫、犬などなどなど‥‥
の、耳が出ている。
「み、‥‥皆、兄ィのせいだからね!?」
妹、ユウキは、少し怒りながらそう言った。
俺の名前はマエサキ ミズキ。
今年受験生、という肩書きを持つ俺だが、
やや、不登校ぎみ‥‥‥‥‥‥いや、
ニート歴2年の俺には
職業「ニート兼自宅警備員A」が正解だろう。
こっちは妹、ユウキ、
ユウキは、中学二年生。
かたにかかる黒髪、日に当たったことのない白い肌。
そして彼女もまた俺と同じ家の自宅警備員Bだ。
つまり、俺達の家には自宅警備員A、Bと、二人もいるわけだ。
だから、泥棒に入られたことなど、
一度もない。
そんな俺達がなぜ、こんな
人じゃないものが溢れかえる街中にいるかと言うと‥‥
事態は少し前に遡る。
ピーンポーンっ
「ちわーっす!白猫宅急便デース!」
静かな家にインターホンの音が鳴り響き、
聞きなれたいつもの配達員の声がする
「はいはぁい♪」
妹は、部屋から出そうにないので
俺が郵便物係だ。
無事に荷物を受けとり、
俺宛だったのですぐに開けた。
「あっれぇ?俺、こんなの頼んだか?」
身に覚えのない荷物だったが、
やっぱり中身は気になるのだ。
がむしゃらに包装紙を破り捨て
ダンボールという名の
パンドラの箱を開く
そこには‥‥‥‥
「おおおっ!すっげえ!タダか!?」
一つ、ゲームソフトが入っていた。
オマケに
『いつもご愛用ありがとうございます。
新作試作品を送らせていただきましたので、
お2人プレイでお楽しみください』
そう書いてあった。
お金を使わずに新作試作品を貰えるなんて、
俺は幸せだ!
叫んでいると、上から
ドンッ
と、音がした。
きっと妹だ。
「うるさい、静かにして!」
そう言いたいのだろう。
ゲームが好きな妹の事だ。きっと喜ぶと思う。
お2人プレイ、そう書いてあるのだ。
妹以外やる人がいない。
「ゆーうーきいっ!」
俺は、階段を駆け上がり
引きこもりの最後の壁をぶち壊す
幸い、家には鍵、というものは付いていないのだ。
「ちょっ、ちょっとぉっ!
ノックぐらいしろ!兄ぃ!」
イヤホンをしながらパソコンに向かう妹の姿
「これっ!一緒にしないか!?」
やや興奮気味に妹に見せる。
案の定妹は、
パッケージを凝視した後に
「よしっ、やるよ!」
と、積んであった服をずさささっ、と、動かし
スペースを作って俺達は
慣れた手つきでゲームを始めたのだ。
あなたはこのゲームをPlayしますか?