表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エデュケーショナルファンタジー  作者: 東雲みずき
35/52

おこづかい稼ぎ★

 今年の冬はかなり寒い。

 

 職場の暖炉で手を温めながらエミリーは勉強に取り組んでいた。


 土日はマスターが気をまわして早い時間から暖炉を付けてくれる。


 ブレンダに習うようになってから、自分がいかに基礎が出来ていなかったかを痛感した。


 最近、授業後に質問をするとブレンダにも分からない事が多いようで困っている。


「エミリーさん。答えられなくてすみません。来週までには調べてきますので。でもね。こんなことはテストに出ませんよ。テストで問われるのは知識の最大公約数です。細かいところは入学してから教えて貰えますので」


 確かに一理ある。どうもエミリーは実力が伴わない事にも挑戦したがり、いささか先走る傾向があるようだ。


 復習に関しては少なくとも授業の内容は毎回日記に付けるようにしている。マミに習っていたころと同じように。


「春先には過去問題を解き始めた方がいいかと思います」


「過去問題?」


「はい。過去に出題された問題に挑戦して、傾向を掴むんです」


「なるほど……」


 聞けば魔術学校通りの魔法具の店の近くに本屋があるらしい。


 さっそく図書館の帰りがけに寄ってみる事にした。


 過去問題はすぐに見つかった。10年分が並んでいる。


「た、高い……!」


 一年分が金貨10枚。だが背に腹は代えられない。


 ブレンダは値段について全く言及していなかった。甲式魔術学校に通うブレンダもご多分に漏れず貴族である。


(どうしようか。他に使うこともないし。4年分は買えるけど……)


 エミリーはためらったが買い求めた。エミリーは気付き始めていた。勉強は思いのほか金が必要なのだ。


(また冒険者ギルドの依頼を受けてお金を貯めようか……)


 ギルドの依頼は大した内容でも無いのに、結果として命の危険にさらされ続けているのでエミリーは臆病になっていた。


(お使いとか、その程度の仕事って無いかなあ)


 酒場に帰ると掲示板を隅々まで読んだ。


「ゴブリン退治」「エルフとの接触」「真土、魔法鉱石の採取」「野党討伐隊への加勢」


(ん~適当なものがないなあ……。あれ?これは……) 


 掲示板の下の方に小さな依頼書がピン止めしてある。指定の形式とは違う。


「お手紙配達」


(30回で銀貨30枚か。これこれ!こういうの探してたんだ)


 依頼主は「リーナ」とある。


(たまに酒場うちで歌っているコだ)


                              (つづく)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ