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本日は12話目、13話目、14話目も投稿しています。



 図書館での収穫は基本的になかった。

 禁書系は図書館にほんの少しだけあったみたいだけど、当然ながら閲覧できなかった。

 閲覧するにはもっと有名に、というか実績を積み重ねる必要があるみたいだ。

 要するにギルドで依頼をこなせということだ。


 図書館なのになぜギルド? と思うだろうが、なんとこの図書館はギルドで共同管理しているものだそうな。

 ちなみに冒険者ギルドだけじゃなく、商業ギルドや鍛冶ギルドなどの様々な分野のギルドが人と金を出し合って管理している。

 もちろん全部のギルドで実績を積み重ねる必要はない。

 ただ冒険者ギルドで実績を積み重ねるとなると、自然と討伐系をこなすのが早道となりその際に魔物や様々な素材などを売る事になる。

 その売った素材はどこに行くかというと商業ギルドを経由して各店に卸される。


 つまり素材を売る事で商業ギルドへも貢献できる。


 魔物と戦えば武具を消耗するし、戦力を充実させるために武具の更新をする必要がある。

 武具は一般的な道具と比べても非常に高い。

 購入頻度は少なくても1度の単価が高く、メンテナンスにも金を落とす。


 冒険者をするということは3つのギルドに貢献する事を意味するのだ。



 まぁ普通なら、だけど。


 ボクの場合は冒険者ギルドと商業ギルドには貢献しても鍛冶ギルドは微妙だ。

 でも鍛冶ギルドに貢献しなくても2つのギルドにはすごく貢献する事になるだろう。

 何せ狩っている量が段違いだ。討伐できる魔物の強さも段違い。


 もうイベントリ(インベントリー)の中は魔物の死体でいっぱいだ。そろそろなんとかしないといけない。

 でもはっきりいってボクには解体の技術も度胸もない。まぁ1番は血なまぐさくなるのが嫌なんだけどね。あと吐きそうだし。


 でも死体の数は日を追うごとに増えている。

 さすがに初日のような量を毎日ではないが、それでも相当な量増えている。

 まだ1枠1種類ずつなのでイベントリに空きはあるが、毎日同じ魔物ばかり狩っているわけではない。というかそんなことすれば狩りつくしてしまう。

 いや別に現状なら狩りつくしてもいいかもしれないが、同じ素材ばかり貯めても仕方ない。


 最近では森の中層領域と草原と湖を中心として依頼をこなしている。

 この辺りまでなら1日で帰ってこれるのだ。頑張って走れば1番遠い湖でも半日で戻ってこれる。もちろん依頼をこなした上で、だ。







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







 ボクがこのリソトの街、というかこの世界に来てからすでに2ヶ月近くが経とうとしている。

 その間にしていた事といえばアリス達5人が冒険者ギルドで依頼を受けて狩りに行き、魔物を狩って来る。その素材を使ったり、街で集めたりしてボクが装備品をどんどん錬成する。

 諸々の事情で鍛冶屋で修復できないので耐久値がぎりぎりまで減ったら予備の装備に切り替えるのだ。

 イベントリには耐久値が危険領域になった装備がごろごろ眠っている。どうしようこれ。

 魔物の死体と一緒に問題だ。


 討伐系の依頼ばかり受けているので護衛とかそっち系の依頼はまったく手付かずだ。

 でも薬草――リーン草をギルドマスターに売るついでに聞いてみたところ、ボク達のペースで討伐を続けられる冒険者はリソト周辺にはいないので、むしろ護衛などの時間のかかる依頼を受けるくらいなら討伐を続けて欲しいそうだ。

 種類の違う依頼を受けるよりも総合的にみてギルドに貢献しているそうだ。あとは素材を売ってくれると尚助かるらしい。

 死体丸々ならあるんだけどなー。


 死体丸々だと余分な部位も多くあり、買取はしてくれるがあまり好まれない。

 普通は死体丸々なんて運ぶのも大変だし、持ち込まれることはないのだがボク達は別だからね。むしろ素材を取るために解体している時間が勿体無いくらいだ。

 もちろん丸々持ってきて喜ばれる物もある。それは食用になる魔物などだ。ソードボアなんかもソレに含まれる。

 ただやっぱり全部が全部食べられるわけじゃない。むしろ食用となる魔物は極一部だ。


 そんなわけでボクのイベントリには魔物の死体が大量にある。


「――というわけで、この魔物の死体をどうにかしたいと思います」

「マスターマスター、捨ててしまうのはどうでしょう」

「それは最終手段かなぁ。一応お金になるものだしね」

「依頼を出すんはどうどすやろか?」

「依頼かー……。でも冒険者ギルドの掲示板には魔物の解体依頼なんて1度も見たことないよ? やる人いるのかな?」

「確かに言われてみると見かけたことはありませぬ。ですが物は試しとも言いますし出してみる分にはよろしいのでは?」


 ちなみにボクじゃなくてもアリス達に解体させるという手段もある。

 でもそれをやるなら討伐依頼を受けてこなした方が実入りもいい。それにアリス達は解体の技術も知識もあまりない。残念ながら付与できるスキルにもないのでこればかりは実地で覚えるか、誰かにやってもらうか、だ。


 今後も考えると覚えた方がいいんだろうけど、魔物は種類によっても大きさによっても解体方法が異なる。ぶっちゃけうまく解体するのにはかなり技術がいるのだ。


「あれ? でもそんなに解体に技術がいるなら専門職がいそうなもんだよね?」

「それは現在の状況と大雑把に解体するだけなら技術も知識もいらないからだと思われます」

「あぁ……」


 本当に大雑把に解体するだけなら割と誰でも出来る。

 でもその場合は大雑把な分だけ買取金額も安くなる。そこで登場するのが解体を専門とする職業だけど、死体丸々を持って帰ってくる人が少ない上に現状では魔物を狩るのも一苦労だ。

 ポーションがまだ比較的入手が楽な時代には解体専門業者は荷物持ちも兼ねて冒険者に随行し、解体を行っていたようだ。だが今ではそんな余裕がある冒険者は大分少なくなってしまい、それに伴い解体業者の数も減り今ではほとんどいないそうだ。


「ほとんどって事はいることはいるんだ?」

「冒険者ギルドで買取した大雑把に解体された素材を商業ギルドへ卸し、加工業者へ卸す前の準備段階として加工する作業を請け負っているようです。その他にもたまに持ち込まれる死体丸々の段階での解体なども担当したりするようです」

「つまりはボク達の持ち込むやつか。その人達に直接依頼できないかな?」

「今現在の解体業者以外にも以前解体業を営んでいた人達なども使えれば難しくはないと思います」

「転職した人達がやってくれるかな?」

「私達はこれからも当分の間討伐を続ける事になりますし、その間は解体業に空きが出ることはないでしょう」

「我々がギルドマスターに売っている薬草により、ギルドで販売されるポーションの数も増えているので解体業者の増員もされるでしょうぞ」

「ふーむ」


 確かに現状では討伐依頼を受け続けることになるだろう。

 まずは図書館の禁書を閲覧できるくらいにギルドに貢献する必要性がある。その他にも情報収集はするつもりだけど、巷の噂程度のものじゃ当然ながら意味が無い。

 やはり文献なり何なりを見る必要があるのだ。


「増員されるのならそれを見越して依頼してもいいかもね。ギルドを通せば早々持ち逃げされたり不正されたりすることもないだろうし」


 というわけで、死体の処理については決まった。

 面倒事は専門業者に任せてしまえ。コレに尽きる。依頼として出せばギルド側からの監視も入るのでボク達が出す依頼ならばより一層厳しく管理してくれるだろう。機嫌を損ねられたら薬草の供給もリソト周りの魔物の討伐もなくなる可能性があるわけだしね。

 まぁ悪いようにはならないだろう。


 とはいっても死体の状態なら1種類1枠しか取らないが、素材にしたらその分枠が増えてしまう。

 もちろん解体した素材を全部回収するわけじゃない。

 使うかもしれない部分以外は全部ギルドに売りつける予定だ。解体された素材の状態なら喜んで買ってくれそうだし。

 まぁそれでも1種類2種類で枠が済むとは思えないのでまずは数が多い魔物の死体から処理することにした。







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







 魔物の解体依頼は掲示板には貼られず、特殊業務依頼という分類になるそうだ。

 これはギルドから専門の業者の方に依頼を直接出すという形になる。

 今回は魔物の解体なので、数が少なくなったとはいえなくなったわけではない解体専門業者――バラシに片っ端から、元バラシも含めて声をかける形になったみたいだ。


 みんなに相談した時に出た情報通りにギルド側でも雇うバラシの数を増員しているところだったが、まだそれほど増えていなかったらしい。


 今回ボク達が依頼したのはタイミングもよかったみたいでちょうどいい。

 ギルド側もある程度数を揃えるための時間がいるので最初は解体できる魔物の量も少ないがそれでも1日10匹以上は解体してくれるそうだ。


 ちなみに依頼料は解体した魔物の素材の売却品の一部で支払われる。

 なのでボク達にはお金と素材が入ってくるだけだ。実に楽でいい。


 初日はアリス達5人全員が解体風景を見学した。

 ちなみにボクはすぐにファーリの視界が映っているウィンドウを閉じた。グロイ。

 あれで嗅覚まで共有していたらボクは今頃吐いている。

 戦闘は見ても大丈夫だったのにこういうのはだめっぽい。


 バラシの解体はアリス達にとってすごく参考にな……らなかった。

 専門家がやるとさくさくと解体してしまって勉強にならない。一応どういった経路でどこを切り離すか、とか。切り離しづらい部位にはどういう手順がいるか、とか。

 まぁ勉強とはいっても見て盗めぐらいのレベルだったので、とにかく参考にならなかった。


 専門家がいるんだからここは経済を回すということで割り切ることにした。

 アリス達は魔物の死体を持ってくる。

 バラシは解体する。

 ボク達は素材もお金もウッハウハ。バラシも仕事がもらえてウッハウハ。ギルドも依頼料を貰えるし、バラシに仕事を振れるし、商業ギルドにも素材を卸せるし。

 これぞwinwinの関係ってやつだね。


 バラシの数が確保されてからは1日に解体できる量が増えて着実に死体の数は減っている。

 いや、ほぼ毎日狩りに行っているのでそれなりの量は増えるがそれ以上に解体されているので一応は減っている。

 枠は結構ぎりぎりだ。なので宿の一角には耐久値がぎりぎりの装備品が山積みになっている。

 これもどうにかしないといけない。

 今回ギルドに依頼を出す形で魔物の死体をある程度安全に処分できたので、同じように鍛冶師も紹介してもらおうかと思う。

 あまりギルドと関係を持つのもどうかと思うが、この程度なら大丈夫だろう。







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







 ボク達の生活はある意味順調だ。

 ほぼ毎日アリス達が依頼をこなしお金を稼ぐ。

 ボクが消耗品や装備を錬成してそれをサポートする。

 イービーが毎日何かをやらかしてわたわたしてクラリスに怒られる。


 現実帰還のための情報はさっぱり集まらないけど、最初から簡単ではないだろうとは思っているので問題ない。


 さぁ今日も錬成しよう。



 パンっとして、ほいっとね。



残念ながら諸々の事情で打ち切りエンドとなりました。

過去の活動報告などを読んでいただけると納得していただけるかどうかはわかりませんが、ある程度は理解できるかと思います。


作者にとってモチベーションという物はとても大事です。



お読みいただきありがとうございました。

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『濁った瞳のリリアンヌ』完結済み
お暇でしたらお読みください

『幼女と執事が異世界で』完結済み
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『王子様達に養ってもらっています inダンジョン』完結済み
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