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本日は12話目、13話目も投稿しています。


 さくっと森についたアリス達は今回受けた討伐依頼もあっさりこなした。

 というかソードボアクラスの魔物がこの森の頂点付近になるらしく、アリス達の敵じゃない。数も昨日の大虐殺で大分減ったが、それでも獲物の捜索作業は問題にもならないレベルで数はいた。

 それに昨日1度倒している魔物だったので、ファーリが覚えていて嗅覚強化であっさりと発見できた。うちのペット超優秀。


 森につくまでに大体1時間ちょっと。森についてから討伐までに30分。帰りにさらに1時間ちょっと。

 合計3時間もかからずに依頼受諾から報告まで可能というハイペースだ。


 でも薬草を採取するつもりなので隠蔽で姿を消して森の奥の方まできている。

 アリス達には4人分に増やした採取ゴーグルをつけてもらい、採取ポイントを探しながら移動してもらっている。

 森の中はHeart & Heartsなら結構な頻度で採取ポイントが設置してあるものなんだけど、全然なかった。

 しかし森の奥の方まで来ると少しずつ採取ポイントが見つかり出して、そこから薬草や素材として使える草花が採取できた。

 採取ポイント以外からは薬草なんかは全然見つからなかったが。


 結構奥の方に来ているというのにこれでは、昨日の形振り構っていなかったギルドマスターの焦りもよくわかる。

 ここに来るまで高いLvになった隠蔽を使っていなければ何度魔物と交戦しなければいけなかったかわからない。それほど魔物は溢れている。


 2時間ほどかけて採取と移動を繰り返していたのでもう今日は十分だろう。イベントリ(インベントリー)に放り込んでおけば劣化もしないし。

 1回で全部渡してしまうのではなく、小出しにして時間を稼ぐつもりだ。

 ボクはその間に装備やホムンクルスの量産を行う。

 まぁまずは装備の量産がメインで、ホムンクルスを増やすのはぎりぎりまでやめておくつもりだ。

 現時点でもアリス達だけで手一杯だしね。でも増やす必要があれば躊躇はしないだろうな。







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







 冒険者ギルドで清算を済ませ、リーン草を1株だけギルドマスターに渡して報酬を貰い一旦近くの喫茶店で待機してもらう。

 ギルドの中の酒場で待たなかったのはベスがタバコの煙を嫌がったからだ。彼女にタバコの煙を吹きかけるような猛者がいたら、きっと吹きかけた瞬間には胴が2つになっていることだろう。ご褒美にしては過激すぎる。


 ベスの機嫌が悪化する前にギルドを後にさせたので惨劇は起こらなかったけど、いつか起こりそうで怖い。禁煙にならないかなぁー。


 ちなみにそんなちょっと不機嫌なベスはホテルに向かっているみたい。

 なぜなら今ボクが1人だからだ。

 喫茶店で待ち合わせているのはイービーだけで、ボクはホテルの部屋で寛いでいる。

 喫茶店についた時点でソレを彼女たちに教えたら、ベスが何も言わずに立ち上がってダッシュしていってしまった。

 ベスに続いてアリスも走り出そうとしたところでクラリスに止められた。デュリーもアリスに一瞬遅れたが彼女が止められた事で立ち上がる事すら出来ずにいる。


 ……ホテルの部屋にいるんだから大丈夫だと思うんだけどなぁ。たった数日の付き合いだけど、特にアリスとベスはボクに過保護だ。

 デュリーも近い感じはするけど、アリスとベスほどではない。クラリスだけはボクの意見を色々尊重してくれる。

 今回もボクがわざと言わなかった事をちゃんと理解してくれてアリスとデュリーを止めてくれたし。


 ほら、ボクだって1人になりたいときだってあるんだよ?


 護衛は大事だと思うけど、数日過ごしてみてこのホテルはかなり安全なところだとわかっている。さすがに高いだけある。

 1部屋分の料金だからある程度の人数までなら、宿泊者が増えても問題なかったりと寛大だし、他にもサービスが充実している。そのサービスの中にお客様の安全というのもちゃんと入っているのをボクは知っている。


 このホテルの近くには浮浪者()まったくいない(・・・・・・・)のも、知っている。


 だからそこまで心配する事もないと思うんだけどなぁ。


 とか思ってたらベスが到着した。

 ノックも何もなく、扉を蹴破らんとするほどすごい勢いで、だ。まったく困った子だ。

 せめてもの救いはちゃんと変身を解いてきていたことだろうか。

 まぁそれでも嬉しい2割、煩わしい3割、呆れ4割、その他1割って感じだねぇ。


「ハァハァ……ますたぁはん、おちゃいちゃいにはうちも一緒どすえ」

「……あー、うん」


 あー……おちゃいちゃいはお風呂だっけ……?

 ベス……。ボクは君がわからないよ……。







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







 イービーの冒険者登録は何の問題もなかった。


 ……なかったったらなかった。


 模擬戦を担当したのはアリス達を担当した人と同じ人だったが、可哀想なくらいだった。


 イービーは2段階進化スキル――剛力持ちだ。

 その上ボクの作った付与効果が大量についている装備品を最初からフル装備で着ている。

 そりゃあもう……マッチョなばってん傷のおっさんが可哀想だった。彼のためにも詳細は省こう、うん。


 ……ボクくらいのちっちゃな子に一撃で泡を吹かされて失神するおっさん。これが全てだった。


 てんぱっているイービーは手加減が下手だった。

 ……死ななくてよかったよ、ほんと。


 まぁ何はともあれ、イービーも無事身分証をゲットした。

 あとはボクだけなんだけど……アリス達の身分証を使って保護者として登録する方法があるけど、それをやってしまうとボクがこの目立ちまくっている突然現れた獣人種のネコ系集団の一員だとばれる。それでは意味がない。


 他にもギルドはあるにはある。でも商業ギルドとか、鍛冶ギルドとか、魔法ギルドとか。

 どれもボクみたいな子供が登録するのには問題があるものばかりだ。見習いとして登録するにも見習い先の保護者の身分証が結局必要になる。

 まったくもって面倒極まりない。


 かといってそれほど急を要するものか、と問われるとそうでもない。

 巡回の兵士は子供に構っていられる暇はないし、外に出なければ基本的に身分証など必要ない。

 でも持っていて困るものではないし、巡回の兵士が子供を相手にしないというのは絶対ではない。避けられる面倒事は避けた方がいい。


 ちなみに部屋に缶詰という選択肢はない。

 ボクだって自由に行動したいからね。


 さてそんな事をベスの膝の上で考えていたけど、そろそろみんな帰ってくるし……お風呂は終わりにしよう。


「あぁん、ますたぁはんのいけずぅ」


 ボクはベスがわからないよ……。


 ちなみに変身を解いて帰ってきたベスだけど、凄まじい速さで走ったまま隠蔽を使って屋根を飛び移ってホテルに帰ってきたそうだ。

 それなら尾行やなんかは無理だろう。ファーリの視覚映像から見たベスのダッシュの速度は体が完全にブレていたし。あれで追跡が可能だというならもうお手上げだしね。


「マスター!」「マスター殿!」「うわぁぁぁぁんマスターさぁぁっぁあむぎゅ」

「ただいま戻りました、マスター様」


 お風呂を出てベスに髪を乾かしてもらっていると、ベスの勢いに負けないレベルで扉が開いて3人が突撃してきた。

 でも途中で最後尾のイービーが転んで脱落してたけど。


「おかえり、はいそこまで!」


 勢いに任せてタックr……抱きつこうとしてきたので危ないと思って止めた。

 ボクのLBは君達のタックルでも貫通するよ?


 ボクの制止の言葉にビタッとその動きを止めるアリスとデュリー。

 クラリスの小脇に抱えられてメソメソ泣いているイービーも一緒にテーブルに着かせると、まずは労いの言葉をかける。


「まぁとりあえずお疲れ様、みんな。ボクとベスはお風呂入っちゃったから、君達も入ってきちゃいなさい。装備の手入れは後で良いよ。まだ日も高いしね」

「……はい」「……御意」「はい」「ぐす……はいぃ」「わふ」


 ボクの言葉通りにまだ日は大分高い。

 ぶっちゃけまだお昼だ。お風呂に入るには早いが、彼女たちは森にも行ったし、イービーも一応戦闘能力測定として模擬戦をしてきたのでお風呂に入ってもらう。

 装備の手入れはその後でもいいだろう。夜にまたお風呂入るし。お風呂は1日何回入ってもいいのだ。


 トボトボ、と意気消沈してお風呂場に向かうアリスとデュリーだけど、クラリスの冷たい視線を1度受けたらキビキビ動いてた。

 イービーはその視線に晒されてないのに、余波でびびってしまって一緒にキビキビお風呂場に逃げ込む事になった。

 なんとも微笑ましいものだ。


「へー、完成どす」

「ありがと、ベス。でもベスもあんまりみんなに心配かけちゃだめだよ?」

「あたり前どす」

「……どうだか」


 ベスに一応釘を刺しておこうと思ったけど、やっぱりどこ吹く風だ。でも1度言っておけば大丈夫だろう。ベスもそこまで馬鹿じゃない。


 昼食の用意をしてもらうようにベスにお願いして、午後の予定を脳内でまとめる。

 窓の外からは暖かい日差しと清々しい風が入り込んできていて、とても気持ちいい。


 これでお風呂場から聞こえるイービーの悲鳴のような謝罪がなければ最高だったのになー。

 どうせまた何かドジってやらかしたんだろうなー。







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







 昼食を摂り終え、6人と1匹全員で街へと繰り出した。

 目的は情報収集と材料集め。

 情報収集は今回は図書館へ行ってみる事にした。

 このリソトは交通の要所なので結構大きい。その大きさに見合うだけの情報が集まってくる場所でもあり、王都並――王都がどんな規模だか知らないけど――の図書館があるそうだ。

 図書館に帰還のヒントや、まして答えなぞあるとは思えないが調べないわけにはいかない。

 なので手始めということでさっそく赴いたのだが……。


「……まさか身分証の提示を要求されるとは……」

「マスター殿。ここはアリス先輩とクラリス先輩にお任せしましょうぞ」

「そうどす。ウチらは買いモンしまひょ」

「ま、マスターさん、元気出してください……」


 そう、なんとこの図書館、でかくて豪華な外見でちょっとだけ期待させてくれたのに図書館への入館に身分証の提示と入館料と破損保険金を要求してきたのだ。

 入館料と破損保険金はこの際なので問題ない。破損保険金は何も破いたり壊したりしなければ返ってくる。

 だが……だが、身分証。おまえはだめだ!


 くそぅ。こんなところでも身分証差別が……。


 ちなみにファーレの視界を使って、と思ったけれどペットは問答無用で入れなかった。ファーレ……ボクと一緒にやけ食いしようね。


 というわけで、商人系の知識スキルがあるアリスとメイド系の知識スキルがあるクラリスが図書館で調べ物をすることになった。

 ベスとデュリーは一般教養のスキルは持っているけど戦闘特化だし、イービーは絶対何か壊すのでダメ。破損保険金なんてフラグでしかない。


 なので残りのメンバーでお買い物だ。

 必需品の類はほとんど買ってあるし、メインはボクの錬成用の材料だ。

 とはいっても魔塩とか魔糖とかのそこそこ値の張る物を中心とした買い物なので、そんなに時間はかからないだろう。


 買い物が終わったら鍛冶屋を見て周りたいとも思っている。

 予備の装備を作るとはいっても、やはり修復できる鍛冶屋を探しておく事は必須だ。



 さーて、まずはあの露店で売ってるクレープモドキを食べてやるッ! 行くよ、ファーレ!



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