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神なき世界で悪魔にモテたので、ついでに人類救済します。  作者: ナナツメ蜜柑


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22/26

次の目的地は未定(だいたい北)

「――で」

 ジルが歩きながら言った。


「次は、どこだ?」


 その一言で、

 一行の足が止まる。


「……」

「……」

「……」


 誰も答えない。


 ルナが、ゆっくりと首を傾げた。


「主」

「ん?」


「目的地、どこ」


「…………」


 ジルは考えた。

 思い出そうとした。

 だが、何も出てこなかった。


「……決めてなかったな」


「そんなことあります!?」

 アリシアが即座に突っ込む。


「ノクティアまで、あんなに計画的だったのに!?」


「計画的だったのは」

 ジルは真顔で言う。

「たまたまだ」




 自然と、視線がセレナに集まる。


 セレナは、何も気づいていない顔で歩いていた。


「……セレナ」

 ジルが呼ぶ。


「はい?」

 優雅に振り向く。


「北のシェルター都市、ヴィルディアに向かうか?」


「あら」

 セレナは、少し考え――

 軽く手を打った。


「そうでしたわ」


「やっぱり、北。寒そう」

 ルナが嫌な顔で反応した。


「ええ」

 セレナは微笑む。

「とても秩序正しく、規則に満ちた街ですわ」


「悪魔は嫌いそうだな」

 ジルが即断する。


「ええ」

「大嫌いですわ」


「なんでそんなところに忘れ物なんてするんですか!!」



「……いつかは取りに行く必要がありますもの」

「放っておくと、少々困りますし」

 セレナが言った。


「どうして今なんですか…?」

 アリシアが首を傾げる。


「人間とあの都市に入れることなんてそうそうないですもの」


「主」

 ルナが真顔で言う。

「この人」

「ああ」


「面倒」

「知ってる」



 ノクティアを離れた途端、

 道は一気に荒れた。


「さっきまで文明だったのに……」

 アリシアが地面を見る。


「三歩で終末だな」

 ジルが言う。


「地下って偉大ですわね」

 セレナが感心する。


「偉大なのは人間達の技術です」


 遠くで、

 何かが鳴いた。


「……今の」

 アリシアが小声になる。


「鳥」

「悪魔」

「死の前触れ」


 ルナが三択を出す。


「正解は…」

 ジルが言う。


「どれですか…?」

「全部だ」


「やめてください!!」


こちらに向かってきたように見えた、見た目の悪い鳥型悪魔は――

なぜか、セレナのほほえみ一つで、明後日の方向に飛んでいった。



「ヴィルディアって」

 アリシアが聞く。

「どんな街なんですか?」


「管理」

「規則」

「書類」

 セレナが即答する。


「人間の私ですら頭が痛くなる単語です」


「門をくぐるだけで」

 セレナは楽しそうだ。

「三枚ほど書かされますわ」


「悪魔に書類!?」


「身分証がないと」

「追い返されます」


「悪魔に身分証!?」


「楽しいですわね」

「楽しくありません!!」



 太陽が傾き始めた。


「今日はここまでだな」

 ジルが言う。


「野営ですね」

 アリシアが息をつく。


「主」

 ルナが言う。

「ごはん」


「あとで」


「すぐ」


「……すぐな」


 セレナは、空を見上げて微笑む。


「次は人間の街」

「また、面倒な社会ですわ」


「自覚はあるんですね」


「ええ」

「だから楽しみですの」


 ジルは歩きながら、前を見る。


 北。

 ヴィルディア。


 忘れ物一つのために向かうには、

 どう考えても厄介すぎる街だった。


「……まあ」

 ジルは一言、呟いた。


「行くしかないか」


 誰も反対しなかった。

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