表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

2.求婚されました。

それからしばらくの間、私は隣国のセドリック皇太子の世話をしていた。

「いやぁ助かったよ。言葉はあってるはずなのに、どうも話が通じなくて困ってたんだ」

今日は通りすがりの生徒に図書室の場所を聞いたら、何故かカフェに案内されていた。

図書室に行きたいという殿下と、途方に暮れた顔の生徒が言い合っているところに、私が出くわした。

結局私が間に入って通訳することで、ようやく話が通じて収まった。

苦笑いをする殿下に、こちらも笑みで返す。

「単語としてはあってますが、文章にすると全体的な意味が変わりますしね。発音のアクセントによっても、別の意味に取られてしまいますし、他国の言葉を覚えるのって難しいですね」

せっかくだからと、そのままカフェで2人でお茶をしていた。

「そうだな、君のような人がいてくれれば……」

そこで殿下は言葉を切って、無言でこちらを見る。

「殿下…?」

首を傾げると、殿下が思いがけない発言をした。

「…リズベット嬢。もし君さえよければ、私の側妃として一緒に国に来ないか?」

驚きのあまり、私は目を見開いて何も言うことができなかった。

その間に殿下が、話を進めていく。

「君は大変優秀で、気配りのできる女性だ。君なら他の正妃や側妃達とも上手くやれるだろうし、身分も申し分ない。国同士強く繋がるし、良い事尽くしだ。君にしても王家に嫁げるのは、良い話だろう」

答えに窮していると、殿下が私の手を握ってきた。

「君が来てくれるなら、リスギー国との関税や輸出品についてある程度融通する事もできる。良い話だろう?」

私は殿下の手から、そっと自分の手を抜いた。

「殿下、申し訳ありませんが私は…」

「殿下、ご歓談中恐れ入ります。国王陛下が折り入ってお話したいことがあると…」

その時タイミング悪く、宰相の部下がやってきた。

「あ。申し訳ない、リズベット嬢。返事はまた今度」

そう言うとセドリック殿下は、止める間もなくさっさと行ってしまった。

私はため息をつくと止めかけた手を下ろし、その場を後にした。



殿下に求婚された3日後、私は自分の屋敷で、久しぶりに婚約者のアレンと過ごしていた。

「こんな風に過ごすのは、久しぶりだね」

「えぇそうね」

彼はソファの上で、私に膝枕をしている。

彼はわりと家庭的な人で、次期辺境伯として領地の運営などに奮闘している私に、甘めのお茶を入れてくれたり、執務の補佐をしてくれたり、いつも私を労わってくれる。

私の能力を認めて、頼りにしてくれる人はたくさんいるが、私を労わって、普通の令嬢のように甘やかしてくれる人は彼以外いない。

飛びぬけて優秀というわけではないが、彼の優しさが大好きだった。

頭をなでてくれる彼の手の気持ちよさに微睡んでいると、メイドのメアリーがやってきた。

「お嬢様、王宮からお嬢様に至急登城するようにと、使いが来てます」

困惑顔で告げられた内容に、この時嫌な予感がした。

「……仕方ないわ、急いで支度してちょうだい」

「わかりました」



アレンに見送られながら王宮に登城し、そこで強引な王命を下されて、失意のまま帰宅する事になった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ