表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/42

第15話 ショウリ

そして時は流れクラスマッチ当日を迎えた。


「いよいよだな、翔真。練習してきたか?」

「まぁ、少しな。」

「予選は時間が被ってるから見れないが、決勝に残れば応援ができる。やるからには総合優勝目指して、そして学食無料券を勝ち取るぞ!えいえいおー。」

「おー。」


気合いの入りまくった大樹はそう言ってどこかへ走り去ってしまった。

グラウンドに出ようと下駄箱に向かうと陽菜乃の姿があった。


「陽菜乃、今日は頑張ろうな。」

「そうですね。そちらも頑張ってください。」


あの日以来俺に対して少しぶっきらぼうになっている。

額の数値はなぜか


90


になっているが、機嫌が悪いのは目に見えて分かる。


「それでは、私は急ぐので。」


俺が世間話を振る隙も与えずに陽菜乃はそそくさと走って行った。






クラスマッチの予選、俺たちのクラスは男子は大樹のいるサッカーと俺たちバスケが決勝トーナメントに進出した。女子はバレーとバスケが勝ち上がったらしく、滑り出し順調だった。


「翔真!バスケ勝ち上がったんだってな。」

「ああ。俺は何もしてないけどな。くじ運もよかったし。サッカーはどうだった?」

「余裕だ。女子も良さそうだし総合優勝ホントにあるかもな。」

「決勝トーナメントには三年生ばっかりらしいから、油断は禁物だぞ。」


そんな話をしていると、麻衣が話しかけてきた。


「翔真先輩!決勝トーナメントおめでとうございます!予選の試合も私見ましたよ。先輩ってバスケもできるんですね。」

「ありがと。予選も見たって麻衣たちのクラスの試合はなかったの?」

「はい。私もバスケに出たんですけど一回戦で《《負けておいた》》のでそれからは先輩の試合を全部見てます。」

「ああ、そう。」

「はい!だから先輩は優勝目指して頑張ってください!応援してますから。」

「ありがとな。」


俺はそう言って麻衣の頭撫でてやると、とてもうれしそうに笑った。





そして決勝トーナメントが始まった。

男子サッカーでは、大樹の攻守に関わる大活躍により、準決勝ではギリギリだったが決勝を勝ち取った。

が、快進撃もここまで。サッカー経験者で固められた三年生のクラスにボコボコにされて準優勝に終わった。


女子バスケでは陽菜乃が無双をして、当然のことのように優勝を決めていた。

陽菜乃には欠点はホントにないのだろうか、と再び考えた試合だった。


そのほかの競技はいろんなクラスがまばらに優勝をしていて、とても盛り上がった。

そして最後。男子バスケ。

今日一日最後の試合、そして決勝。

さらに、対戦相手は大樹たちがサッカーで戦ったクラスであり、ここで勝利した方が総合優勝を決めるという大事な一戦ということもあり、多くの観客が駆けつけていた。


「翔真、総合優勝はお前に掛かってるぞ。」

「そんな緊張を煽るような言葉を掛けるなよ。」

「俺たちが負けた相手をぶちのめしてこい。そのためにも、これ。」


そう言って大樹が渡してきたのは俺が昔使っていたコンタクトだった。


「何でお前がこれを持ってんだ?」

「ちょっと詳しくは言えないが、渡してくれって頼まれてな。」

「そっか。ありがと。でも、眼鏡どうしよ。置きに行く時間は無いから。」

「眼鏡は俺が預かっといてやる。付けて勝ってこい!」

「おう!」


そう言って俺はコンタクトを着けて試合に臨んだ。


ホイッスルと同時に歓声とボールが上がりジャンプボールで試合が始まる。

試合は前後半8分合計16分で行われる。


まずボールを手にしたのは相手だった。

パスをテンポよく回しゴールに迫ってくる。

全員が経験者では無さそうだか、全く出来ないという訳では無い。

そして、ゴールしたまで到達したところでシュートを打とうとする。

が、それを味方が何とかブロックしてマイボール。


俺はボールを受け取るとゆっくりとドリブルをついて周りを見渡し、パスを出す。

それを味方が決めて、先制点。

今までで1番の歓声が上がる。


そこからは点の取り合いで、同点で前半が終わった。

俺は味方と作戦を共有し、後半に向かう。


後半開始直後、俺は打ち合わせ通りボールを1人でドリブルで持っていく。

1人、2人と相手を抜くに従って歓声が大きくなっていく。

そして、ゴールしたまで来て、相手全員が俺を止めようと俺に向かってきた瞬間、俺は外にいる仲間にパスを出す。

その仲間がシュートを放ち、3点。

体育館中が大きな歓声に包まれる。


相手もそうはさせまいと攻撃してくるが、焦りはミスを産むだけ。

そこからは俺と、俺たち仲間の独壇場となった。


そしてラストプレー。

俺はゆっくりとドリブルをし、昔を思い出すようにシュートフォームに入る。

相手も戦意喪失し、ブロックには来なかった。

俺の放ったボールは綺麗な放物線を描いて、ゴールに吸い込まれていく。

ネットとボールが擦れる気持ち良い音と共に試合終了のホイッスルが鳴る。


この瞬間、今日一番の歓声が鳴り、総合優勝が決まったのだった。

一人を除き、クラスのみんなが俺に駆け寄って来て、口々に声を上げる。

俺は懐かしく、気持ちの良いこの空間を静かに味わっていた。





クラスマッチ全日程が終わり、自分のクラスで座っていると大樹が話しかけてきた。


「どうだった?久しぶりのバスケは、MVPさん。」

「どうもこうも。嬉しいよ。良かったな学食無料券貰えて。」

「ああ、これも翔真のお陰だな。クラスのみんなも喜んでたよ。」

「それは良かった。」

「はい、これ預かってた眼鏡。」

「ありがと。」

「そう言えばその眼鏡伊達なのか?」

「え?」


俺は驚いた。

そして大樹に聞く。


「大樹、まさか、お前この眼鏡かけたのか?」

「ど、どうしたよそんなに焦って。掛けたけどなんかまずかったか?」

「掛けて誰かと話したか?」

「い、いや。直ぐに外したから話してないぞ。」

「そうか。それならいい。」


安心した。

誰かと話したりしていれば好感度のことがバレていたかもしれない。

俺はフッと1つ息を吐き、最近してなくて慣れていなかったコンタクトを外して、眼鏡を掛け直した。


「MVPの噂本当だといいな、翔真。」

「そうだな。明日からが楽しみだ。」


俺は何気なく大樹の顔を見た。

すると、大樹の額の数字が見た事のあるモノに変わっていた。







これは彩香のと同じ。

まさか。

俺がそのモノに驚いていると大樹が


「いや、俺は今から楽しみだけどな。」

「今から?」


俺がそう聞き返すと、大樹はいつもより大きな声で


「だって、今お前、松浦まつうら汐良せらと別れてフリーだもんな。」


その声にクラスの視線が俺の方に集まる。


「お前、声がでかい。」

「いいだろ、隠す必要ないし。」

「それでもな〜。」


それから気になることがあったがクラスの皆の打ち上げの誘いや質問攻撃を交わしながら今日は帰ることにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ