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第14話 ショウドウ

家に帰っている途中、遠くからボールを突く音が聞こえたので覗いてみると公園で遊んでいる?中学生らしき子供たちが見えた。


「ほら~、取ってみろよ。」


訂正、遊んではいなかった。


バスケをしているように見えたが、よく見ると1人の少年が他の4人の男の子たち相手に試合をしていた。

見るからに4人組の方はバスケの経験者で、1人の方はおそらく未経験者だろう。


4人組の方は一人相手に馬鹿にしたり、煽ったりしながらボールを回しをしている。

1人の子も今にも涙を流しそうになりながらも、必死でボールを追いかけていた。

そんな男の子を俺は見てみぬふりが出来なかった。

衝動的に足が動いていた。

カバンを下ろし少年たちの方に向かっていく。


そして、俺は4人組が回していたボールをカットして奪った。

バスケットボールを持ったのは久しぶりだった。


「邪魔すんなよ。」


喧嘩腰で4人組の方の1人が声を掛けてくる。

逆に1人の方の子は驚いた目をしている。


「ごめんごめん。なんだか楽しそうなことしてるね。俺も混ぜてよ。」


俺がそう言うと、少年たちは黙ったまま目を見合わせる。


「こっちのチームでいいからさ。お願い。」


俺は1人でいた少年の肩に手を置いて、屈んで再びお願いする。

少年たちは少し集まって話した後、了承してくれた。


「ルールはボールを相手から奪うか、ゴールを決めたら攻守交替。3回先にゴールした方が勝ちね。俺たちが勝ったらジュース奢ってよね、眼鏡の兄ちゃん。」

「いいぞ。その代わり、俺たちが勝ったらなんでも一つ言うこと聞いてもらうからね。」

「「「「よっしゃ。」」」」


自分たちが数的優位かつ経験者ということもあってか、負けることを想像していないな。これは一度、伸びきった鼻を折ってやらないとな。


「俺の名前は翔真、よろしくね。君の名前は?」

大翔ひろと。」

「大翔君ね。じゃあ、大翔君試合が始まったら一人の子にずっとくっ付いてて。何があっても離れちゃダメだよ。勝ってアイツらのこと見返してやろう。」

「うん。分かった。」


大翔君はそう言って潤んでいた目を袖で拭った。


ジャンケンで男の子たちのチームの攻撃からになった。


「行くぞ!」


男の子達はさすが経験者と言わんばかりにパスを回す。

大翔君は俺の言った通り1人に付きっきりで、パスを出させず男の子達も3人で攻撃してくる。

ゴール前まで繋ぐとシュートに向かう。

が、それを俺は素早く回り込み、ボールをたたき落とし奪う。

男の子達は驚いていた。


攻守交替。


「大翔君。シュートは出来る?」

「うん。でも、ドリブルあまりできない。」

「分かった。それで十分だ。攻撃の時に俺が走れって言うから、ゴールに向かって全力疾走だ。それまでは、コートの端っこで静かに待ってて。俺がバスケの面白さ教えてあげる。」


俺は大翔君にそう言うと、ドリブルを始める。

男の子たちもバカではなく数的優位を使い守備をする。

ボールを持つ俺に三人で奪いに来て一人は大翔君についている。

俺は奪われないようにドリブルをし続ける。


《《ある瞬間》》を待って。


三つの方向から奪いに来る男の子たちを右に左に躱しながら。

しばらくそうしていると、しびれを切らしたのか大翔君についている一人が俺の方に向かってくるのが見えた。

俺はその瞬間、


「走れ!」


と叫んだ。

それと同時に、俺は前にボールをふわりと投げた。


「どこ投げてんだよ。諦めたのか?」

「あいつには俺らの仲間が付いているから意味ないよ。」

「それはどうかな。」


俺は笑みを浮かべながらそう答えた。

男の子たちが振り返ると、大翔君が一人でゴール前に走っていた。

ボールをキャッチした大翔君はそのままゴールにボールを入れた。


「ナイスシュート、大翔!」


俺が親指を立ててそう言うと、大翔君も笑顔で返してくれた。

一方、決められた男の子たちは言い争いを始めた。


「何でお前こっちに来てんだよ。あいつに付いとけって言っただろ!」

「うるせーよ。お前らが早く奪わないからだろ!」

「お前が動かなかったら取れてたよ!」

「嘘つけ!」


俺は彼らの間に入り、ボールを渡す。


「はい、次は君たちの攻撃の番だよ。」

「分かってるよ!」


そこからは男の子たちはボロボロだった。

パスはミスするし、シュートも入らない。守備も穴だらけ。

今は、俺が見つけた時とは立場が逆転している。

俺は大翔君と協力し、得点を積み重ねていき


結果は3-0の圧勝。



「はい、俺たちの勝ちな。言うこと聞いてもらうって約束だったよな~。」

「「「「ごめんなさい。」」」」

「何で謝るんだ?」


俺がそう尋ねると男の子たちは黙ってしまった。

自分たちがしていたことを理解したようだ。


「分かってるならいいよ。もうしないな?」

「うん。」

「それじゃあ、次からは皆で楽しくバスケしろよ。分かったか?」

「分かった。」

「よし、それじゃあ。チーム変えてもう一試合だ。」

「え?」

「買った方にはジュースな。」

「「「「うん!」」」」


それから俺たちは一緒に暗くなるまでバスケをした。

大翔君も笑顔でバスケが出来ていたので、俺は助けてよかったなと思った。

最後にジュースを皆に買ってあげて、解散した。


「またね~。眼鏡の兄ちゃん!」

「ああ、またな!」


久しぶりにしたバスケ、楽しかったなぁ。

俺はそんな思いに浸りながら、家に帰った。



公園の木の陰に隠れている人影には気付くことは無かった。


「やっぱり、かっこいいなぁ。」



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