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SNSが結ぶ恋  作者: TERU
13/13

最終話「アイノカタチ~Shape of Love~」

正樹が消息を絶ってから真咲はウクライナを目指して飛行機に飛び乗る。

果して戦場の中2人は出会う事が出来るのか?

最終話「アイノカタチ ~Shape of Love~」


『当機は間もなくポーランド ワルシャワ・ショパン国際空港に向けて下降致します。着陸に備えまして、皆様のシートベルトの確認、テーブルを元の位置に戻して下さいますよう、宜しくお願い致します。』キャビンアテンダントからのアナウンスを聞いて真咲はシートベルトを着けて窓の外を覗きこむ、飛行機の下には雲の羽毛が敷き詰められており、飛行機はベッドに飛び込むように雲の中に入って行った。


正樹の行方不明報道の後、真咲は美佳に慰められながら正樹の生還を祈っていたが、1週間を過ぎた頃にウクライナに行くと会社に連絡を残してポーランドに向かっていた。


窓の向こう側を眺めながら、iphone14のアプリを開きイヤホンを付け大好きなMISIAの音楽を聴き出した



『あのね いつの間にか気づいたんだ 愛にもしカタチがあってそれがすでに私の胸にはまっていたなら きっとずっと今日よりあなたの事を知るたびにそのカタチはもうあなたじゃなきゃ きっと隙間を作ってしまうね♪♪♪

あのね大好きだよ あなたが心の中で広がってくだびに 愛が 溢れ 涙が こぼれるんだ♪♪♪』


『アイノカタチ』の曲が真咲の耳を通して心に響き涙が止まらなくなった。

「隙間が埋まらないよ。バカ・・・。」



「HELLO.I’M LOOKING FOR INFOTMATION CENTER OF UKRAINE REFUGEES.」(こんにちは。私はウクライナ難民の情報センターを探しています。)

「YOU HAVE TO GO TO THIS WAY.」(この道を真っ直ぐ行ってください。)

「THANK YOU.」(ありがごとうございます。)

真咲はウクライナとの国境のポーランド東部ルブリン市の難民支援センターに来ていた。

ポーランド首都ワルシャワからウクライナ第二の首都リビウを結ぶ『リビウエクスプレス』に乗りルブリン市に下りてから難民支援センターに向かったのだ。

「HI,I WANT TO GET ROSTER OF UKRAINE REFUGEES.」

(私はウクライナ難民の名簿が見たいのですが。)

「YES.YOU HAVE TO CHECK THIS PC .BUT IT’S TOO MANY PEOPLE.」

(はい。このパソコンをチェックして下さい。しかし凄い数の人ですよ。)

「YES.BUT I WILL FIND HIM.」

(はい。でも私は必ず彼を見つけます。)

真咲は指示されたパソコンにかじりつき名簿を一人一人探し続けた。真咲と同じように名簿を探し続ける人々は後を絶たず、戦争で家族を引き裂かれたり、奪われたりしている現実を目の当たりにした。


「あの日本人の方ですか?」パソコンに集中している真咲に一人の日本人女性が声をかけた。

「あっ!はい!」声をかけられると思っていなかったので、かなりビックリしてしまった。

「すみません、日本人の方が着ているとインフォメーションセンターで聞いたので、お探ししておりました。私政府から難民支援を依頼されて派遣されました。『永戸 美佐』と申します。」

「始めまして、本城 真咲です。ここには行方不明になった『清水 正樹』を探しにきました。」

「あの清水さんを?私も一緒に行方不明になった『滝沢 亮二』を探しています。彼は私の同期ですから心配しています。よかったらこれから私と一緒に行動しませんか?」

「ありがとうございます。でも私これからキエフに行きたいんです。」

「それは許可出来ません。キエフへの空爆は依然おさまっておりません。」

「それでも私探したいんです。」真咲の瞳に強い意志を感じ美佐も考え込む。

「今、ロシアとウクライナとの間で協議されて、人道支援回廊を作る事になりました。明後日午前0時から24時間一時停戦致します。その間に現在キエフの在住の邦人25名を助けだすために、大型バスをチャーターして日本大使館に向かいます。あなたも同行しますか?」

「行きます!」真咲は美佐の温情に感謝した。



「清水さん。大丈夫でしたか?」滝沢が心配そうに声をかけた。

「大丈夫だよ。彼らは外国人に手を出すリスクを知っているよ。」

「そうだといいのですが。飛行機に乗っていた武藤達と別々にされているから心配で。」

「俺達は空港内にいた生き残りを集められた感じだったからね。向こうは政府専用機に乗っていたからそれなりに丁寧に扱われていると思うよ。

「スマホも没収されたからどことも連絡が取れないから情報が取れませんね。」

「まだ政府専用機に乗っていたら優遇されたかもね。全くツイて無いよ。」

正樹達は空港を占拠したロシア軍に捕虜として空港内にいた生存者達と共に出国ロビーに集められて各自尋問を受けていた。食糧は少ないながらも与えられて生きながらえていた。

「ロシア軍も捕虜を食わす余裕はないと思うからそのうち解放されると思うよ。」

「そうですね。解放されたらまずは日本大使館に戻りましょう。こうなると大使館が一番安全です。」

「滝沢さんの手当ても必要だしね。救急用具とかも持って行こう。」

「私は大丈夫ですよ。頭の傷も血は止まりましたから。でも血だらけのワイシャツだけでも変えたいですね。」



「真咲さん、準備出来ましたか?」

「はい、いつでも大丈夫です。」

「時間は24時間しかありません。急ぎますよ。」

「はい。」そう言いつつ大型バスに乗り込む。

大型バスの中には政府関係者3名が乗っていた。邦人25名救出すると一杯になるはずだ。

「現地の日本人のナビゲーターには日本大使館に集まるように伝えてあります。もしかしたら正樹さんも話を聞いているかもしれません。」

「そうだといいですが。」

「キエフまで8.9時間かかると思います。帰りを考えても13時か14時には出発しますよ。」

「分かりました。ありがとうございます。」

「もうすぐ0時です。席について下さい。」

「はい。」真咲は席について、正樹の無事を祈った。



「正樹さん、大丈夫です。解放されそうです。ロシア兵に聞くと人道支援回廊が1日だけ設けられてその日は1日だけ戦闘が無くなるそうです。」

「よかった。車を空港の近くに乗り捨てているから、それに乗ってポーランドに逃げましょう。」

「それはいいのですね。空港から日本大使館まではそんなに距離はありませんので、必要な物をトランクに入れて行きましょう。これから何が起こるか分かりませんから。」

「確かにそうだね。そうしましょう。」

「0時に私たち捕虜を解放するそうなので、それまで休みましょう。」



「思ったより悲惨な状況ね。」

「現実とは思えません。」真咲は窓ごしに見るキエフの荒れように背筋が凍る思いであった。

「歴史的な建築物が多いキエフの街並みが一瞬で粉々になっている。戦争は本当に恐ろしいわね。日本は平和ボケしていると言われるけど、それを貫き通す姿勢も大切なのが分かるわ。日本人でよかった。」不謹慎と思いつつ心の声が出てしまった。

「あの教会?」

「どうしたの?」

「いえ、あの教会の写真を正樹さんが送ってくれたんです。一緒に行こうね。と。」

「そう。あの教会にもミサイルが当たったみたいね。」よく見ると天井に大きな穴が開いている。

「後、どれくらいで着きますか?」真咲は涙を拭って問いかけた。居ても立っても居られなくなった。

「思ったより時間がかかっているけど、後30分もすれば大使館に着くはずよ。そこで生存者を確認してバスに乗せます。あなたも手伝ってくれると助かります。」

「分かりました。」



「ダメですね。この車。」

「運悪く砲弾が着弾したみたいですね。もう歩くしかない。」

「そうですね。歩けない距離じゃありまんから、日本大使館で車に乗り換えてポーランドに行きましょう。」

「それしかないですね。もしかしたら何か情報が入るかもしれない。」正樹達はキエフの日本大使館まで歩き出した。



「武藤君がいてまとめてくれてよかったわ。」

「日本政府から派遣されていたのが美佐さんでよかった。僕らは空港でロシア軍に占拠されたんですが、日本政府専用機に乗っていたので、早く解放されてよかったです。」

「すみません、正樹さんは。清水正樹さんは大丈夫でしょうか?」

「こちらの女性は?」

「清水正樹さんの婚約者です。」

「あー清水さんというと滝沢さんと一緒にいた人ですね。分からないんです。あの時滝沢さん達は別で連行されていたので、その先の事は全く。」

「でも人道支援回廊が出来て捕虜も解放されると聞きました。多分滝沢さん達も解放されていますから。」真咲が泣きそうになっていたので、慌ててフォローした。

「もう時間が無いから早く皆をバスに乗せて。」

「はい。」

その時ではある。ロケットが飛翔する音が聞こえてキエフ市街に直撃した。

「ズドーン!」と轟音と共に激しい衝撃が町全体に広がった。


「もう少しで市街です。」

「もうヘトヘトですよ。」

「お店があって飲み水確保出来てよかったですね。」

「もう無人でお金払ってないけどね。」

「平和になったら、お金払いに来ましょう。」

「はははそうですね。生きて払いに来ましょう。」


その時である、何かの飛翔音と共に「ズドーン!」という爆音が聞こえて吹き飛ばされた。



「正樹さん、大丈夫ですか?正樹さん!」滝沢は数秒動けなくなったが、慌てて立ち上がった。

「凄い煙だ!正樹さん大丈夫ですか?」

「ううっ!」

「正樹さん!」滝沢がかけよる。直ぐ隣にいた正樹が数メートル離れたところに飛ばされているのにビックリする。

「大丈夫ですか!?止血しないと!」よく見ると正樹の太腿に大きなガラスの破片が突き刺さっていた。

「大丈夫ですか?ガラス抜きますよ!」

「うう・・・・・!!!」滝沢が思い切ってガラスの破片を抜き取った瞬間、激痛が走っり血が噴出す。

「ああああ・・・・優しく・・・抜いて下さいよ。」

「十分優しく抜きました。止血しますけど、中にガラスの破片が入っているかもしれないから病院に行かないと。」

「そんな病院どこにあるんだよ。何が人道回廊で攻撃しないだ。ロシア軍!」正樹は痛みと怒りで声を荒げる。

「そうですね。ロシアに常識は通用しません。」

「仕方ありません。肩を貸しますから大使館に急ぎましょう。」

「少し待ってください。」そう言って気を失った。



「もう出発しますよ。」美佐が真咲に話しかける。

「もう少し待って下さい。」真咲が懇願する。

「もう14時だから帰りを考えるともう行かないと24時までに避難所まで辿り着けない。私にはこの生存者を無事に日本に届ける義務があるんです。ごめんなさい。」

「そっそんな・・・。」

美佐の言葉にこのどうしようもない状況に心が締め付けられるようであった。


「何時間寝ていましたか?痛っ!」

「傷口が開きますからあんまり動かさない方がいいですよ。あれから1時間程です。」

「すみません。はやく行きましょう。」

「大丈夫ですか?」

「明日になったらまたミサイルが飛んでくるなら今頑張るしかないよね。頑張ります。」

「分かりました。行きましょう。肩を貸しますね。」

2人は最後の力を振り絞り歩き出した。



「出発します。皆さんこれから何があるか分かりませんので、シートベルトをつけてください。」運転手の指示で皆シートベルトを着けた。

「真咲さん大丈夫?」涙が止まらない真咲の隣に座り美佐が慰める。

そのままバスは日本大使館をでた。



「大丈夫ですか?正樹さん?」力の入らない人間の重さに滝沢は思い知らされていた。

「もう置いて行ってくれるか?それで大使館から車を取ってきてくれ。」滝沢の表情を見て正樹が話す。

「何っているんですか?一緒に行きましょう!」

「もう無理なんだ。足の感覚も無くなってきた。」滝沢が後ろを振り返ると正樹の血の跡が道をたどっていた。

「俺さ~結婚を決めたんですよ。20歳以上若い超美人。」

「凄いじゃないですか?そんな彼女を悲しましてはダメですよ。」

「40過ぎたバツイチの俺が少しでも彼女を幸せにしたくて、昔の伝手を使ってウクライナに来て、もう一度頑張ろうと思っていたんですけど、いきなりこんなんでしょ。どこまでついてないんだろうと思います。」滝沢は歩きながらひたすら聞いていた。彼はもう意識がほとんどない状態だと思ったから、話をさせて意識を繋ぎ止めたかったからであった。

「俺が死んでも彼女さえ幸せになってくれたらいいんだけど、俺が死んだらこんな俺でも悲しんでくれるかな?」

「当り前じゃないですか?彼女の為にも一緒に帰りますよ。」

「・・・・。」

「正樹さん?正樹さん!正樹さん!」返事のしない正樹に驚いて声を荒げる。


「大丈夫ですよ。まだ生きていますよ。少し眠くて。」

「寝ちゃだめですよ!起きて話続けて下さい。」

「あそこの教会・・・彼女がウクライナにきたらあそこで結婚式をしたいと思ったんだよ。ポッカリ穴が開いているよ。酷いことするな。」

「いいじゃないですか?その時は呼んで下さいよ。」

「ごめん、ちょっともう疲れてさ、ここに俺を置いて車を取りに行って貰っていいかな?」

「何言っているんですか!」

「その方が早いだろ?出来たら教会の中で休まして貰っていいかな?中を見ながら結婚式のイメージ作りしたいから。」

「分かりました。すぐ帰ってくるので、必ず起きていて下さいね。」

「分かっていますよ。ありがとうございます。」滝沢は正樹を担ぎ教会の中に入り、祭壇の前の席に座らせた。

「いいですね。必ず起きていてくださいね。すぐ迎えにきますから。」

「ありがとう滝沢さん。本当に出会えてよかったです。」

「今生の別れみたいに言わないでくださいね。直ぐに戻ってきますから。」

「それから『これ』を日本に帰ったら本城真咲って子に渡して貰えますか?」正樹がポケットから小さな箱を滝沢に渡す。

「さすがにロシア軍もこれは取り上げないでくれた。」

「これ結婚指輪じゃないですか?嫌です。ここで結婚式するんでしょ?私も呼んでくれるんでしょ?受け取れません。」

「はははそうだったね。そうします。私は大丈夫ですから早く行って下さい。」

「はい。直ぐ帰ってきますから。」そう言って滝沢は走り出した。正樹に背を向けると涙が止まらなかった・・・。

「あー綺麗だな・・・。」教会の祭壇を見上げるとポッカリと空いた穴から光がさし、ステンドクラスの窓を輝かせてマリア像を照らしだしていた。

「なんじ清水正樹は本城真咲を愛する事を誓いますか?『はい。誓います。』」正樹は独り言を言って、目を閉じた。



真咲達を乗せたバスはポーランドに向かって走っていたが、先程のミサイル攻撃により、道が通ることが出来ずに道路迂回する事になった。

「もう早く戻らなきゃいけないのに。仕方ないあの教会側から迂回しましょう。」

「PLEASE GO TO ANOTHER WAY.WE HAVE TO GO TO BESIDE OF THAT’S SHURCH.」(別の道を行きましょう。あそこの教会の横の道を行きましょう。)武藤はドライバーに指示して迂回する事にした。

「あそこの教会に降りられないですか?」真咲が美佐に話しかける。

「何言っているの?話はさっき聞いたけど。それは許可出来ないわ。私達はこの人達を無事に日本に届ける義務があるの!」美佐は真咲の気持ちが分かったが、それを許す事が出来なかった。その時である。

「キーーーーーーーーーーー!」バスが急ブレーキをかける。

「どうしたの!?」

「誰かが飛び出してきたみたいです。」

「PLEASE!PLEASAE! PLEASE! HELP! HELP! HELP!」外で男がバスをたたき助けを求めている。

「え!?滝沢先輩!?」武藤が声を上げる。




「正樹さん!正樹さん!正樹さん!」奇跡的に滝沢と合流した真咲達は、教会にバスを止めて正樹の元に駆けつけた。

「正樹さん、あなたの彼女があなたを探してウクライナに来てくれたよ!こんなところで寝ている場合じゃない!起きて!」滝沢も懸命に声をかける。


「真咲・・・」正樹が薄っすらと目を開ける。

「正樹さん!」真咲は涙を流しなら飛びつく。

「あーマリア様が最後に願いを聞いてくれた。大切な人に会わせてくれた。」

「正樹さん、正樹さん、正樹さん!」真咲は何も考えられず。叫ぶしかなかった。

「この指輪・・・。」正樹は真咲に箱を見せて開けると二つの指輪が並んでいた。

「この教会で渡したかった・・・。」

その言葉を最後に正樹は口を開く事がなかった。



『これから沢山の泣き笑いを知るたびに増えて行くの 飛び出たとこへこんだとこ二人になってく 時にはぶつかりすり減ってそしてまた埋めあっていけばいい。

大好きなあなたがそばにいないときに ほら 胸が痛くなって あなたのカタチ見える気がしたんだ。

あのね大好きだよ。何万回も伝えよう温かく増えた思いは全部 アイノカタチです♪♪』

             Epilogue「教会」


「滝沢君遅いわよ。」

「美佐が早いんだよ。」

「早くないわよ。男と違ってドレスアップしないといけないの!」

「はいはい。分かりました。俺が悪んです。」

「もうタクシーが来ているから行くわよ。」

「了解。」

『滝沢 亮二』『永戸 美佐』は共にロシア・ウクライナ戦争終結後、在ウクライナ日本大使館に在籍していた。

キエフに住む日本人を救出した事により日本政府より恩賞を受けて、それと共に事後処理として派遣されたのである。


2024年2月24日朝、慌ただしい二人はタクシーに乗って教会に向かった。



『カラ~ン!カラ~ン!カラ~ン!』という鐘の音と共に続々と関係者が教会の中に入っていく。

「まだ教会の穴が塞がっていないんですね。」美佐と滝沢と共にまたウクライナ大使館に派遣された。武藤が声をかける。

「当り前じゃない。戦争は一瞬でも復興にはまだまだ時間がかかるわ。」

「そうですよね。」

「滝沢君、ネクタイ曲がっている。」そう言いつつネクタイを直してあげる。

「なんか夫婦みたいですね。」

「何言っているの?長い付き合いなの。腐れ縁よ。」

「そうそう同期の腐れ縁。うっ!」美佐の肘がみぞおちに入り声が出ない。

「本当に仲いいな~!」

「仲良くない!」同時に声が聞こえた。



「LADIES AND GENTLEMEN,ENTRANCE OF THE BRIDE AND GROOM」

(紳士淑女の皆様、新郎新婦の入場です。)

パイプオルガンの音色と共に新郎新婦が入場した。

そこにはドレスアップして緊張している正樹とウエディングドレスを着た真咲の姿が見えた。

「おめでとう!」

「おめでとうございます!」

沢山の拍手と共に二人を祝福する声がこだまする。



あの教会での出会いの後、意識を失った正樹をバスに乗り合わせた日本人医師の懸命な処置のお掛けで、正樹は命を取り留めたのである。

ポーランドに向かう途中の町で稼働している病院を見つけて輸血出来たのも運がよかった。

様々出会いや運に助けられ命を繋いだ命であった。


「本当に良かった。」滝沢は拍手をしながら涙が抑えらない。

「何始まったばかりで何泣いているのよ、まあ気持ちは分からなくないけど。」美佐もあの時の状況を思い出して涙をこらえる。


「MR.MASAKI SHIMIZU,DO YOU SWEAR TO LOVE MASAKI HONJO FOREVER?」(清水 正樹、あなたは永遠に本城 真咲を愛する事を誓いますか?)

「YES I SWEAR.」(はい。誓います。)

「MISS.MASAKI HONJO,DO YOU SWEAR TO LOVE MASAKI HONJO FOREVER?」(本城 真咲、あなたは永遠に清水 正樹を愛する事を誓いますか?)

「YES.I SWEAR.」(はい。誓います。)

正樹と真咲は見つめあい、正樹は神父から結婚指輪を受け取る。

真咲も自然に左手を出す。正樹は緊張しながら薬指に指輪をはめてあげた。

そして真咲も正樹の左手の薬指に指輪をはめた。

「CONGRATULATIONS. MARRIAGE IS ESTABLISHED.PLEASE KISS OF OATH.」

(おめでとうございます。結婚成立です。誓いのキスをして下さい。)


「もう二度と君を悲しめない。一人にしない。二人で一緒に生きよう。」

「うん。私もずっと一緒にいるからね。」真咲の涙の笑顔を見せてくれた。


『誓いのキス』古代から習わし・・・でもこのキスはこの先何万回と繰り返すキスの中で特別な『キス』なんだと二人は思った。



「神様が祝福してくれている。」美佐を呟く。

「え?」

祭壇を見上げている美佐からは、口づけを交わしている二人の姿がとても美しく見えた。なぜならポッカリ空いた教会の天井の穴から光がスポットライトのように二人を包み込んでいたからである。

「素敵だね。羨ましいね。」美佐はそっと滝沢の手を握る。

「そっそうだね。」滝沢は美佐の手を握り返した。



『ずっと ずっと大好きだよ。あなたが心の中で 広がってくたび 愛があふれ涙がこぼれるんだ。

星の数ほどの中 ただ一人のあなたが心にいるんだ あのね あのね すっと 大好きだよ。大好きだよ ああ ありがとう♪♪♪』



BY MISIA 『アイノカタチ』




ALL END OF THE STORY.

WE WILL MAKE ANOTHER STORY OUR FOR THE FUTURE.

IF YOU WANT TO SEE ANTHER STORY, I WILL MAKE NEW STORY FOR YOU.

THANK YOU ALL. FROM TERU.


長らくお付き合い下さり、ありがとうございました。

これからの正樹と真咲の2人の幸せをお祈り下さい。



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